うちゅうてきなとりで

The Cosmological Fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

2020-01-01から1年間の記事一覧

2020年の読んだ本

◆面白かった本(順不同) 今年も戦史、日本の近代史、サイバー戦関係の本を多めに読みました。ここには載せていませんが、裁判所、検察、えん罪等の司法関係もまとめて読みました。 また、民俗学や明治以降の日本についても興味があり、本を読み始めました。…

BC級戦犯の話

最後の学徒兵―BC級死刑囚・田口泰正の悲劇 (講談社文庫) 作者:森口 豁 メディア: 文庫 『最後の学徒兵』では、海軍予備学生として徴集された大学生が、石垣島の守備隊に配属され、そこで捕虜殺害を命じられた顛末をたどる。 墜落した米爆撃機の搭乗員3名は…

『Ghost Wars』Steve Coll その3 ――ビンラディンはわしが育てた

15 イスラム主義者が政権を掌握したスーダンは、テロ支援国家となっていた。 ハルツームにおいて、邸宅に住むビンラディンは有力なテロ組織者・テロリストの「フォード財団」として有名になりつつあった。 ユースフの尋問から、合衆国内の民間航空がテロリ…

『Ghost Wars』Steve Coll その2 ――ビンラディンはわしが育てた

6 マスードは軍人の子であり、比較的裕福な環境で育った。1960年代、特にカブールではイスラム主義と共産主義の運動がさかんだった。マスードら若い将校たちはイスラム主義運動に加入した。 アフガンは19世紀以前まで、スーフィーが主流だったが、1…

『Ghost Wars』Steve Coll その1 ――ビンラディンはわしが育てた

副題は、「CIA、アフガニスタン、そしてビンラディンについての、ソ連侵攻から911までの秘史」。 ◆所見 アフガン紛争時代のCIAによる秘密支援がイスラム主義者を育成し、最終的にアルカイダはアメリカを攻撃する。 アメリカは表立ってアフガン情勢…

「私はあなたのニグロではない」

私はあなたのニグロではない(字幕版) 発売日: 2018/11/03 メディア: Prime Video ボールドウィンのエッセイを元に作られた記録映画。 ボールドウィンが交流した3人の活動家について当時の映像をもとに知ることができる。

ジェイムズ・ボールドウィンの本を買った。

James Baldwin: Collected Essays (LOA #98): Notes of a Native Son / Nobody Knows My Name / The Fire Next Time / No Name in the Street / The Devil Finds Work (Library of America James Baldwin Edition) 作者:Baldwin, James 発売日: 1998/02/01 …

『児玉誉士夫』有馬哲夫 ――外交のもう1つの顔

本書は、アメリカ(情報関係部署)が蓄積した文書資料をもとに、政治プロデューサーとしての児玉誉士夫を検討するものである。 同盟諸国に対するアメリカの政治工作について細かく書かれている。 著者はメディアや米占領期に関する研究者で、政治的立場は私…

『韓国併合』海野福寿 ――植民地政策の時代

明治政府による朝鮮保護領化から併合までを時系列で説明する本。 ◆所見 著者の立場は、韓国併合は、当時の国際法上は適法だったものの、道義的には問題があったというものである。 明治政府は設立後すぐに台湾や沖縄、朝鮮などの獲得に乗り出しており、完全…

ブラック・フライデーと民俗学など

最近はAmong us、Fortniteを遊んでいますが、下手です。 知り合いといっしょにMonster Hunter Worldを始めようかと考えています。 ブラック・フライデーセールが各所でやっているのでいろいろと買い物をしました。 ◆PC・ゲーム関係 ゲーミングキーボード RGB…

『わが半生』溥儀 その3――宮殿の異常な人びとと、そこにたかる人びと

7 板垣との面会、溥儀が満洲国執政を受け入れる経緯について。 ja.wikipedia.org ――……かれは鞄のなかから『満蒙人民宣言書』と五色の『満洲国国旗』をとりだして、私の前の小卓の上に置いた。私は怒りで胸もはりさけそうになっていた。ぶるぶる震える手でそ…

『わが半生』溥儀 その2――宮殿の異常な人びとと、そこにたかる人びと

6 溥儀は皇后と結婚し、また妃を迎えた。婚礼行事は清朝時代のように盛大におこなわれたため、国民からの反感を買った。各外国行使が出席し、また各地に散っていた清朝の遺臣たちが春の虫のようにやってきた。 しかし、結婚して何が変わるわけでもなく、溥…

『わが半生』溥儀 その1――宮殿の異常な人びとと、そこにたかる人びと

宣統帝、愛新覚羅溥儀が1964年に北京で出版した自伝で、直後香港で話題になり世界で増刷された。 ja.wikipedia.org ◆所見 溥儀は西太后の指令によって光緒帝の養子となり、皇帝となった。溥儀の家系は西太后らが展開する醜悪な権力闘争を生き延びた。 共…

第1次世界大戦と第2次世界大戦の本

最近、Christopher Clark『The Sleepwalkers』を読み始めた。 冒頭では、セルビアがなぜテロ組織や義勇軍を抱えるようになったか、なぜオーストリアのボスニアヘルツェゴビナ併合に抵抗したのかが詳しく書かれている。 The Sleepwalkers: How Europe Went to…

『ゴー・フォー・ブローク』渡辺正清 ――日系人部隊の話

アメリカ人としての存在意義を証明するために従軍した日系二世部隊の足跡をたどる。 著者自身もアメリカ生活が長く、かつての退役日系人たちとともにイタリアの戦跡を再訪することで、かれらの歴史を振り返る。 ◆メモ なぜ日系人部隊に注目するのか ・なぜか…

『グアテマラ虐殺の記憶』 その2 ――グアテマラ内戦に関する数少ない日本語の本

2 ゲリラとの戦いにおいて、軍はゲリラ浸透度合いで地域をゾーン化し、対策した。住民の大量拘留、移動制限、モデル村構築によるゲリラ拠点の無力化が行われた。軍は、様々な学問を利用し、また人種偏見に基づいて先住民族に対応した。 軍は、ゲリラ蔑視、…

『グアテマラ虐殺の記憶』 その1 ――グアテマラ内戦に関する数少ない日本語の本

◆所感と個人的な話 グアテマラ内戦の実態や、被害について詳しく書かれた本。 軍事独裁を行ったリオス・モントは、2013年に国内裁判所で有罪判決を受けた後、2018年に死亡した。 www.cnn.co.jp ja.wikipedia.org ◆グアテマラのフィクション グアテマ…

たばこをやめてVapeに変更した

半年ほど前に復活してしまったたばこをやめるためにVapeに変えました。 休憩の習慣に組み込まれたのでいまのところ順調です。 電子タバコ 爆煙 「正規品」【Vaporesso/ベポレッソ】 VECO ONE Starter kit (シルバー) ベコ ワン スターター キット おまけ付き…

『Fear』Bob Woodward その2 ――民主主義の実験

14 イランの非公式テロ組織であるヒズボラの危険性について。 元陸軍大佐の情報担当であるデレク・ハーヴェイは、クシュナーからサウジアラビア訪問を打診された。クシュナーはイスラエルのネタニヤフ首相と親交があり、サウジアラビアはイスラエルととも…

『Fear』Bob Woodward その1 ――民主主義の実験

ボブ・ウッドワードによるトランプ政権の調査報告。 アメリカで売れているということで読んだ。 ◆感想 本書で描かれるトランプの振る舞いは無能な君主であり、側近たちはそれに振り回される役人である。 ・報告を聞かない、読まない、理解しようとしない ・…

ゲーム開発会社 UbisoftとCrytek、ランサムウェア被害にあう

www.zdnet.com bestgamingpro.com ランサムウェア攻撃は政府系ハッカー、犯罪者が入り混じって大海賊時代のようになっています。 japan.zdnet.com

『禅』鈴木大拙 ――禅の普及に努めた人物による説明

◆メモ 英語版Wikipediaには、鈴木大拙がナチズムとユダヤ人追放政策にある程度の共感を表明していた事実や論争が取り上げられているが、日本語版では丸々省かれている。 キリスト教聖職者とドイツ安楽死作戦に関する本("By Trust Betrayed")でも、多くのド…

ララミー砦の思い出

ワイオミングはのどかなところでした。 en.wikipedia.org

『スノーデン 日本への警告』スノーデン ――知識は無知を制する。そして自らを律しようとする市民は知識が与える力で武装しなければならない

“Knowledge will forever govern ignorance, and a people who mean to be their own governors, must arm themselves with the power knowledge gives.”― James Madison スノーデンが暴露した大量監視システムに関する話題を中心に、民主主義社会における監…

『僕は少年ゲリラ兵だった:陸軍中野学校が作った沖縄秘密部隊』NHKスペシャル取材班 ――我が国の少年兵政策

沖縄戦時、北部でゲリラ戦を強いられた少年兵たちがいた。 NHKの取材班は、生き残った当時の人びとを取材しその全貌をつかもうとする。 新潮文庫版は『少年ゲリラ兵の告白』という書名に変わっている。 ◆所見 小野田氏で有名な陸軍中野学校二俣分校が主役…

『東本願寺三十年紛争』田原由紀雄 ――寺の内部抗争について

東本願寺紛争とは、1969年ごろから表面化した、「宗門の天皇家」大谷家――親鸞の血を引く一族であるーーを中心とする伝統擁護派と、「同朋会運動」を中心とする改革派との争いである。 ja.wikipedia.org 本願寺は、親鸞没後、関東の有力門弟が京都東山・…

明治時代を考えたい / 中国のIT産業

◆明治時代について調べる 石光真清という明治時代の陸軍人の本が面白いと聞いたのでまとめて買った。 ja.wikipedia.org (実際は古本で買った) 城下の人 - 新編・石光真清の手記 一 西南戦争・日清戦争 (中公文庫) 作者:石光 真清 発売日: 2017/11/22 メデ…

『タテ社会の人間関係』中根千枝 ――ルールではなく人に従う

日本論の古典の1つだという。 本書の目的は、現代日本社会を社会人類学によって分析し、それがどのようなものかといった理論を提示するものである。 ◆所見 本書で考察されている企業(一体感、家族ぐるみ)の様子は、一昔前のものである。しかし、現代にも…

『自省録』マルクス・アウレーリウス その2 ――生きているうちに、許されている間に、善き人たれ

5 重視するべきなのは次の精神である……「誠実、謹厳、忍苦、享楽的でないこと、運命にたいして呟かぬこと、寡欲、親切、自由、単純、真面目、高邁な精神」 恩を売るようなことは慎むこと。 すべてを与えられたものとして受け入れること。 人間にとって自然…

『自省録』マルクス・アウレーリウス その1 ――生きているうちに、許されている間に、善き人たれ

2世紀のローマ皇帝によるメモ。マルクス・アウレーリウスの治下は戦争が絶えなかった。 エピクテトスのストア哲学から強い影響を受けている。セネカ、エピクテトス、マルクス・アウレーリウスらの後期ストア派は、宗教的色彩を帯びており、「哲学は初期の人…