うちゅうてきなとりで

The Cosmological Fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

2015-12-01から1ヶ月間の記事一覧

2015年 映画のメモ その6

◆「ヒトラー最期の12日間」 昔観たがもう1度観た。今回はシュペーアの本を読んだ後なので、登場人物たちの動きをよく理解できた。 ヒトラー ~最期の12日間~ Blu-ray 出版社/メーカー: TCエンタテインメント 発売日: 2012/09/05 メディア: Blu-ray クリッ…

2015年 映画のメモ その5

◆「ペーパームーン」 詐欺師と孤児が自動車で旅をする映画。2人は徐々に打ち解けていき親子のように仲良くなる。 ペーパー・ムーン スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD] 出版社/メーカー: パラマウント ジャパン 発売日: 2006/04/21 メディア: DV…

2015年 映画のメモ その4

◆「縞模様のパジャマの少年」 収容所の所長の息子が主人公の映画。 原作は、時代や固有名詞も極力あいまいにして、子供の視点から書いているという。そのような物語の作り方もあるということを学ばなければならない。 縞模様のパジャマの少年 [DVD] 出版社/…

2015年 映画のメモ その3

有名な映画を中心に観た。 ◆「レインマン」 トム・クルーズは自閉症の兄の存在を知り、始めはこの兄から遺産をとろうと躍起になるが、そのうち兄弟として認めるようになる。 レインマン [Blu-ray] 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイ…

2015年 映画のメモ その2

◆「ゼロ・ダーク・サーティ」 CIA職員の女がビンラディンの居場所をつきとめ、特殊部隊が突入し殺害する話。情報収集とはこのような陰鬱な作業の積み重ねであると感じた。 敵の居場所をつかむ、敵がいかなる組織体制を持っているかを知ることは容易ではな…

2015年 映画のメモ その1

今年も無職時間を活用して映画をいくつか観た。旧作が100円になってからはだいぶ借りやすくなった。 ◆「トゥルー・グリット」true grit 父の仇を討つために14歳の娘が保安官とレンジャーを雇い敵を追跡する。 隻眼の保安官もかつては無法者であり、仇の…

『動物たちの日本史』中村禎里

日本人が動物をどのようにとらえてきたのか、日本人の動物観をたどる。 古来より日本人とかかわりの深い動物はヘビ、キツネ、ウマ、ウシ、サル、タヌキ、等である。 神にかかわりがあるとされた動物については、ヘビが最も古く、やがて1000年前後にキツ…

『関ヶ原合戦と大坂の陣』笠谷和比古

関ヶ原の合戦以後も徳川方の領地は全国の3分の1にとどまり、京都以西は旧族系または豊臣系外様が占めていた。関ヶ原合戦は徳川体制の盤石の基ではない。 合戦は豊臣体制内部の分裂により生じた。それは以下のとおり。 1 正室北の政所と秀頼生母淀殿との対…

『ブラック・チャイナ』田雁

起源 中国黒社会の起源は「幇会(バンホイ)」と呼ばれる秘密結社である。当初は職能組合だったが、明末に満州族に対抗するために結束し、辛亥革命や軍閥の支配に際して権力と協力し勢力を拡大させてきた。 明末の幕僚洪英がつくった「洪門」は、清の時代に…

『アメリカ人弁護士が見た裁判員制度』コリン・ジョーンズ

本書の目的:陪審制度との比較により裁判員制度が誰のための制度かを論じる。 「陪審制度は個人を公権力から守る最後の砦であるのに対して、率直に言って、私が見る限り、裁判員制度は裁判官と国民が一緒になって悪い人のお仕置きをするかどうか決めるための…

『激論!「裁判員」問題』木村晋介

裁判員制度について賛成派と反対派が議論する本。 1 裁判員制度の概要 適用されるのは重大犯罪のみである。審理は裁判官3名と裁判員6名で行われる。裁判員は事実の認定、法令の適用、刑の量定について権限を持つ。 これらは多数決で決定されるが、有罪の…

『黒社会 中国を揺るがす組織犯罪』何頻・王兆軍

――中国語の「黒」という言葉には「秘密」「邪悪」「非合法」「非公然」という匂いが強い。「黒社会」という単語そのものは、英語のアンダーワールド・ソサエティから来たものだ。……本書で述べる「黒社会」とは、凝集性、職業性、隠ぺい性などの特徴を帯びた…

かれらは怒りの……

かれらは怒りの茶をたてた。 強度の指とともに 手のひらでおしつぶせ、 乱数を。 それらが、技師長の 思考を乱し、 かれらの規則をもって 言わなければならないことの 大半を こわす。 いまだに、親たちは 子供をさしだすというが 何事か。 額からこじあけて…

『サンディーノ戦記』高橋均

1920年代のニカラグアで行われた戦争について。ヨーロッパに対しては距離を置いていた印象のある合衆国だが、アメリカ大陸では積極的に活動を行っていた。 中央アメリカ共和国は19世紀、メキシコの独立に乗じてスペインからの独立を果たす。当初はメキ…

『インドネシアから考える』白石隆

1965年~1966年にかけてのインドネシア共産党員虐殺を指揮したのが、当時政権を掌握したスハルトだった。この事件は映画「アクト・オブ・キリング」の題材にもなった。 本書はスハルトの統治と経済政策を概説し、また97年アジア経済危機によるスハ…

『中国革命の起源1915-1949』ルシアン・ビアンコ

中華人民共和国成立の経緯を研究する。 1 アヘン戦争により清朝は打撃を受け、反王朝を掲げる太平天国の乱がおこった。日清戦争ではさらに義和団の乱が発生した。孫文は革命運動を進め、1910年、清王朝が消滅し中華民国が成立した。しかし、革命勢力に…

『国際テロリズム101問』 安部川元伸

本書は国際テロ組織の概要、組織、地域分布、対策等について概要を説明するもの。 *** テロの類型……大量破壊兵器テロ、サイバーテロ、海事テロ、エコテロ等 現代のテロは大別して左翼組織、民族主義組織、イスラム過激派組織に大別される。左翼主義組織は主…

『極左暴力集団・右翼101問』

警察関係者向けの書籍で、極左と極右の成立経緯、宗派、活動内容等を説明する。 *** 極左暴力集団の歴史は日本共産党の路線転換の歴史であるといわれている。同党の路線転換のたびに分裂を繰り返し、地下組織、非公然組織が生まれてきた。 五流二十数派……革…

『腐敗と寛容 インドネシア・ビジネス』中原洋

インドネシアでの経営経験がある人物が、当該国の文化、経済的慣習等について紹介する本。 1 人と国 インドネシアは多民族、多言語国家である。様々な民族間で共通するのは、楽天、寛容、忍耐の精神である。著者はこうした精神要素が生まれた背景として、豊…

図書案内:ドイツ文学及びオーストリア文学

・ゲーテ、シラー、グリンメルスハウゼンといった古典をだいぶ昔に読んだ。 ・その他、面白かった本…… ビューヒナー『レンツ』 クービン『対極』等 ・ゴットフリート・ベン、トラークルの本はドイツ語で読んでみたいが勉強が中断したままである。 ◆ゴットフ…

『A history of modern Israel』Colin Shindler

イスラエルは建国から60年ほどを経て驚くべき成功を収めたが、いまだに多くの問題を抱えている。著者は具体例として軍事力への依存、汚職、貧富の差、宗教主義と世俗主義の対立、そしてパレスチナ問題等をあげる。 本書はイスラエルのたどった歴史を説明す…

龍涎門

和尚は言った。 この方路は雨と夜の方路、 雲がかかれば、円形の 濃度の奥から 眼がのぞきこむと。 その眼玉、2つの 写真衛星の眼窩を わたしは疑問におもう。 あの門を見なさい、と 和尚が指をさし、おや、 いまにも木組みが腐って 崩れそうじゃないか。 …

『Sultanistic Regimes』Juan J. Linz, H. E. Chehabi

比較政治学において、政治体制を理解するための単語である「スルタニスム」(スルタン主義体制)を考える。 スルタニスムとは……元はヴェーバーが統治の類型を考える上で「スルタン制」を考案し、後に本書の著者であるリンスが発展させた。 イスラーム世界の…

『若き将軍の朝鮮戦争』白善ヨップ

韓国軍人が書いた自伝で、朝鮮戦争期の韓国軍について知ることができる。また、著者は植民地時代には日本軍人として勤務しているため、当時の日本、日本軍の様子についても言及されている。 韓国も合衆国との複雑な関係に悩まされている国であり、日本の歴史…

『中世都市と暴力』ニコル・ゴンティエ

西ヨーロッパにおける、陰惨な中世都市の生活や社会を知ることができる。 中世人は、この本だけを読めば、常に派閥をつくり、抗争し、殺しあいを繰り返していたような印象を受ける。『中世の秋』や『ドン・キホーテ』を読んで感じるのは、中世の人間は今より…

『現人神の創作者たち』山本七平

江戸時代の朱子学を参考に、尊王思想の起源を探求する本。かなり専門的な分野なので事前知識はなかったが説明はわかりやすかった。 *** 尊王思想は朱舜水という中国人がもたらし、徳川幕府が官学として結実させた思想のひとつである。尊王思想は日本史におい…

『アラブ人とユダヤ人』シプラー

目的……「アラブ人とユダヤ人が互いに抱き合っている感情やイメージ、先入観を点検し、彼らの敵意の根にあるものや、イスラエルの支配下で両者がまじりあって暮らす小さな土地での相互作用を、じっくり見ることにある」。 イスラエルでの生活や社会について知…

嘘ばかりの地誌

かがり火の門が、坂の 向こうにある。 ひじをついて、砂ぼこりを 口にいれ、ゆっくりと 匍匐前進して、 そういうときの 暗渠から湧き上がる 魚群のにおいは特別だ。 雨粒が降っても 皮フと組織は きれいなまま。 門に辿りつくまえに かれらは土になって 凍っ…

『海と帝国』上田信

目的……ブローデルの「海の歴史」と、ウォーラーステイン「世界システム論」という歴史学の潮流を踏まえ、中国史の見直しを図るものである。 元、明、清の3王朝を貿易と経済の観点から考える。 ――帝国と海との関係に着目することで、海を通じて中国と結ばれ…