うちゅうてきなとりで

The Cosmological Fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

2019-11-01から1ヶ月間の記事一覧

『フランス革命 歴史における劇薬』遅塚忠躬 ――革命の光と闇

フランス革命が、フランスの歴史、フランス国民にとって劇薬であったことを伝えるという趣旨の本。 著者は、革命が人間の偉大(理想)と悲惨(現実の殺戮、恐怖政治、戦争)を体現していると考える。 岩波ジュニア新書ということで、子供向けにわかりやすく…

最近の買い物 ――日本史、マリオネット、

◆関東大震災 九月、東京の路上で 1923年関東大震災ジェノサイドの残響 作者: 加藤直樹 出版社/メーカー: ころから 発売日: 2014/03/11 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (48件) を見る 『証言集 関東大震災の直後』が良い本だったので…

『英雄なき島』久山忍 ――硫黄島の戦いと名将の実態

海軍航空隊の要員として硫黄島の戦いに参加した大曲覚(おおまがり・さとる)海軍中尉の回想録。 ◆所感 所在航空部隊である海軍の、さらに下級士官からの視点ということで、末端の雰囲気や状況がよく伝わってくる。 防空壕での日本兵たちの生活は、完全に別…

『チェチェン やめられない戦争』アンナ・ポリトコフスカヤ その2 ――無法者と劣悪軍隊の違い

2 ロシアの現実 ・イングーシ共和国のアウシェフ大統領は、チェチェン難民の受け入れを表明した唯一の隣国だが、連邦政府からにらまれ、強制的に辞任させられた。 後任者は、FSB(連邦保安庁、KGBの後継機関)将官ジャジコフだった。イングーシはただ…

『チェチェン やめられない戦争』アンナ・ポリトコフスカヤ その1 ――無法者と劣悪軍隊の違い

◆メモ 1999年から始まった第2次チェチェン紛争により市民は無政府状態の下に晒された。 本書では「対テロ作戦」、「掃討作戦」によって日々迫害される人びとに注目する。戦争を概説するのではなく、末端の市民と末端の悪党たちの様子を細かく伝えようと…

国家・政治・行政の腐敗とどう戦うか

◆はじめに どうすれば腐敗と戦うことができるのかをGoogleで調べた。 わたしの読んできた歴史の本は、ほとんどが外国政府や権威主義体制・独裁体制に対するテロ活動で、腐敗との戦いにおいて直接参考にはならなかったからである。 The Revolt: Story o…

『By Trust Betrayed』Gallagher その3 ――ナチス・ドイツの安楽死作戦

8 T4作戦と弁護士(The Lawyers) ドイツ人には、社会が安定していた、治安がよかったとしてナチス時代をなつかしむ者もいる。 合衆国の法には権利章典(Bill of Rights)があるが、ドイツの法に個人の自由という概念はなかった。 ナチ政権の代表的な非人…

『By Trust Betrayed』Gallagher その2 ――ナチス・ドイツの安楽死作戦

3 T4作戦の始動 安楽死施設は次のような場所に設置された。 ・グラフェネクGrafeneck(ウルムUrm南西) ・ブランデンブルクBrandenburgの古い監獄(ベルリン南西) ・ハルトハイムHartheim(リンツLinz北西) ・ベルンベルクBernberg(中央ドイツ) ・ハ…

『By Trust Betrayed』Gallagher その1 ――ナチス・ドイツの安楽死作戦

ナチス・ドイツにおける障害者の安楽死(Euthanasia)・大量殺人(Mass Killing)――T4作戦(Aktion T-4)――を検討する本。 著者自身もポリオによって身体障害者となり、同じ境遇だったフランクリン・ルーズヴェルトを研究対象にしている。 ◆所感 ヒトラーは進…

『水俣病』原田正純 ――水俣病の発生から行政・チッソとの交渉、認定まで

水俣病の調査に取り組んだ医学者による本。水俣病発生の経緯から、行政、チッソとの交渉、公害認定と補償にいたるまでをたどる。 ◆所感 チッソ、役所、御用学者、患者を差別する隣人等、人間の悲惨な光景が集約されたような事例である。 東大がチッソを擁護…

国防総省では反逆者、亡命者扱いのスノーデン氏

Permanent Record (English Edition) 作者: Edward Snowden 出版社/メーカー: Macmillan 発売日: 2019/09/17 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る エドワード・スノーデンの自伝「Permanent Record」は、本人の生い立ちや亡命の経緯が書かれてお…

『ゲシュタポ・狂気の歴史』ジャック・ドラリュ その2 ――フランス人レジスタンスによる概説

4 侵略開始 ヒトラー、ヒムラーは軍をコントロールするため、ゲシュタポのミュラーらに工作活動をさせた。 国防相ブロンベルクは売春婦と再婚した疑いにより失脚させられ、陸軍総司令官フリッチュは同性愛の冤罪をかけられ失脚した。フリッチュの後任は新ナ…