うちゅうてきなとりで

The Cosmological Fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

建国の戦争と最後の戦争

 

 

 

 最近読み始めた1776は、米国の独立戦争を、指揮官ジョージ・ワシントンアメリカ軍の動向を中心に書いたものです。

 米国ではベストセラーのようで、当時の寄せ集めアメリカ軍の様子、市民・民間人出身の個性的な将軍たちなど、新鮮な話が多く面白いです。

 

 

 

 

 こちらの『アフガニスタン文書』は、ワシントン・ポストが情報公開法に基づき入手した、米政府のアフガニスタンに関する内部情報をまとめたものです。

 政府が、長年にわたってアフガニスタン戦争の情勢を隠蔽し、うまくいっていると米国民をだましていたのではないかという内容です。

 

『幕末百話』篠田鉱造 ――明治維新の現場の声

 幕末を生きていた老人たちからの聞き書きを集めたもの。

 明治35年から38年にかけて報知新聞に連載された。

 幕末における社会の混乱、犯罪、庶民の生活が描かれている。

 

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・芝居

 歌舞伎役者に関する話題・スキャンダルは、江戸時代でなポピュラーだったようだ。

・人斬り

 武士にとって人の命は軽いものである。

 町民は武士に頭が上がらなかった。試し切りをするために夜徘徊する武士たちがおり、因縁をつけられると斬殺された。

彰義隊

 戦闘の際、草鞋の紐を結ぼうと敵に背を向けて首を刎ねれらた男。

 江戸にいた武士たちの多くは強制的に彰義隊編入されたが、裏切りや敗北で、間もなく隊は崩壊し、官軍は切捨て御免で幕府側の武士に対し人間狩りを行った。

 語り部たちは変装したり、官軍側に扮装したり、知り合いの家に逃げ込んで一命をとりとめた。

 

・犯罪

 強盗医者

 貧窮組

 強力な辻番

 

 折助……大名屋敷に寄生する食客たち 病人の殺し方 うんこひっかけ吊るされる岡っ引

 

 上田馬之助……喧嘩をふっかけてきた酔っ払いの織田家武士2名を斬殺するが裁判の末微罪、後、警視庁に就職した。

 

 銭湯で公方(徳川将軍)の悪口に相槌を打ったために密告され、刑場で拷問を受けた話。

 

 天保銭……各藩で陶器をまぜて鋳造したため価値が暴落した。

 

 維新の大赦令……牢屋から曲者が続々と出てきて、「八州鎮台」、「関東巡察」等の旗を掲げて町民たちを脅かした。後に素性がばれて街頭で斬首されるものもいた。

 

 例幣使……貧乏公家とその債権者である米屋、酒屋などが皆烏帽子をつけて、わざと駕籠から落ちて人足たちに対し金をせびる。

 

 異人殺害……攘夷派による外国人殺害に対し、幕府は「薩摩と京都禁裏の仕業である」と遁策を張った。

 

 コレがそもそも幕府の権力が薄くなる根本で、自ら箔をはがしたも同様じゃ。ついに幕府がこの遁策を張ったため、異人に将軍の上にまた天皇のあることが知れた。

 

 刑事の拷問……蛇の道は蛇

 

 撃剣修行……竹刀、面、小手による道場修行が安政の時代に流行した。

 主要な先生……齋藤弥九郎、桃井春三、千葉周作

 

 肉食は外国人来日後、維新後に急増した。

 

 治外法権寛永寺

 

 沼津兵学校……明治元年(1868年)に徳川家が開設したフランス式軍隊教育学校。旗本御家人のレベルの低いものがいた半面、後の陸軍将官となる者も在籍した。

 まともな学問・技量のない旗本を見て教官たちは「これだから徳川は亡んだのだ」と笑ったという。

 

 ある士族は刀を質にいれてしまったので、脇差に手ぬぐいをまき鞘だけを伸ばして羽織の下からのぞかせて出勤した。

 

 

『刑法入門』山口厚 その2 ――書名のとおりの本

 3 犯罪はどんなときに成立するのか

 犯罪の成立要件は基本的には行為、結果、因果関係、意志だが、未遂や不注意など犯罪によって必要な要件は変わる。

 

行為客体(やられる対象)と保護法益(侵害された利益)は必ずしも同一ではない。公務執行妨害は、客体は公務員だが保護法益は「公務そのもの」である。

 法益侵害の危険を処罰するものを「危険犯」という……往来危険罪や放火罪。

行為と結果の間には因果関係が必要である。

 事実的因果関係を見つける手がかりの1つとして「行為無ければ結果なし」という考えがあるが、これでは解決できない問題もある(複数人が立て続けに毒薬を盛った例)。

 事実的因果関係があっても、そこに異常な事態が介在した場合は、法的因果関係は否定される(殴った相手が病院にいき、その病院がだれかに放火される等)。

・大阪南港事件について

 

・行為について

 行為(不作為を含む)がなければ犯罪はない。不作為にはネグレクト(保護責任者遺棄)、不退去罪、多衆不解散罪などがある。

 作為義務には契約、保護者の子育て、たき火の始末などがある。これが生じるのを保障人的地位というが定義は次のとおり。

 

 ……不作為が処罰されうる保障人的地位の要件は、1. 危険源の支配、2. 法益脆弱性の支配に認められることになるわけです。

 

 

 つまり、危険物を管理していたり車を運転していたり(1)また嬰児を養育している場合(2)がこれにあたる。

 不作為の処罰の例として放火、シャクティパット殺人(治療必要な信徒を放置)があげられる。

 

・意思について

 故意がなければ原則処罰はない。また故意も程度がある。

 未必の故意とは、「ある犯罪事実が存在するかもしれないと思いながら、それでもよい、それでもしかたないと考えている場合」をいう。

 事実の錯誤とは「犯人が認識・予見した事実と実際に生じた事実とが違っていても、その違いが同じ犯罪類型の範囲内の具体的な事実のあり方にすぎないのであれば、故意犯を認めることができる」ととらえられる。

 例えば、Aを撃とうとおもいその背後のBを射殺してしまった場合も故意の殺人罪が成立する。

 

 法を知らなくても故意は成立する。

 過失の条件は不注意である。過失は、生命や身体・公共の安全など、重大な利益侵害をおこした場合に限られ適用される。

 未遂はそれを罰する規定があるときにのみ処罰される。未遂は、犯罪者による犯行の着手が客観的に認められた場合にのみ認められる。

 

 共犯の種類……共同正犯、教唆、幇助。

 共謀共同正犯とは、謀議に参加した者も同様に共犯として罰することをいう。

 

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 4 犯罪はどんなときに成立しないか

 犯罪の不成立について、責任阻却自由と違法性阻却自由を中心に説明する。

 

責任阻却事由とは、責任能力がない場合に適用される。心神喪失者や刑事未成年が該当する。

 

・違法性阻却事由

 犯罪としての違法性が阻却されるのは以下の場合である。

 正当な行為である場合……例えば医療、取材、超法規的措置など。

 正当な目的であっても、相当な手段でなければならないとされる。

 

 ※ 行為無価値論と結果無価値論について

 行為無価値論は、行為自体を反倫理的(倫理違反)とし、違法性の実質とするもの。

 結果無価値論は、行為の結果が「利益侵害」であるとし、違法性の実質とするもの。

 両者の根底には、刑法の意義に関する考えの違いがある。

 

・正当防衛と緊急避難:

 利益侵害の観点から違法性が阻却される場合は次のとおり……

 法益性の欠如(被害者の同意で紙を処分した、髪を切った等)。

 法益衡量とは、ある利益を侵害し、より大きな利益を守った場合をいう。その具体例が、緊急避難である。緊急避難は、侵害を他人に転嫁するものである。

 

 正当防衛の概要:

 攻撃者に対してのみ適用される。

 逃げられる場合でも、逃げなくてもいい(そこに居る自由を保障する)。

 より強い反撃も可能である。攻撃に対して、刃物を使い威嚇したとしても、防御的使用・最低限度の使用であれば正当防衛となる(武器対等の原則は修正されている)。

 正当防衛の対象となるのは攻撃者の「犯罪行為」である。よって、対物防衛の問題が生じる。飼い主が犬をけしかけた場合は、この犬を殺しても正当防衛となる。しかし野生動物の攻撃に反撃した場合は、器物損壊に問われる。

 他人を防衛することができる。

 防衛の意思解釈は緩やかであり、憤激や激昂が含まれていたとしても構わない。ただし、攻撃を予知していながら、積極的に反撃しようと待ち伏せした場合などは、過剰防衛となる。

 過剰防衛は、急迫性や反撃の程度などが問題となる。

 

 

『刑法入門』山口厚 その1 ――書名のとおりの本

 ◆メモ

 刑法と刑罰の仕組、その基盤となっている考え方・刑法学についてまとめられている。

 ただし、日本の司法運用にまつわる問題は特に取り上げていない。このため、本書だけを見ると非常に理路整然としたきれいなシステムであるかのような印象を受ける。

 逮捕後の勾留期間や、有罪率、裁判員制度、また尋問に関する問題などは別の本で調べる必要がある。


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 1 犯罪と刑罰とは何なのか

 犯罪とは法律で禁止された行為であり、その違反に対する措置として刑罰が科されるものをいう。

 憲法では「残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる」とされている。

 司法は死刑をどう考えているのだろうか。

 1948年の最高裁見解は「火あぶり、磔、かまゆで、晒し首などは残虐だが、死刑自体は残虐ではない(よって死刑は合憲)」というものである。

 

 自由刑……懲役と禁錮の違いは労務作業の有無だが、現在はほぼ同一化している。拘留は30日未満の短期自由刑である。

 三年以下の懲役・禁錮の場合、五年以下の執行猶予が与えられることがある。

 仮釈放の時期は累犯者・非累犯者とで異なる。無期懲役者は現在では20年以上経過した後仮釈放が一般的である。

 罰金刑(罰金・科料・没収)を払えない者のために労役場留置がある。

 刑罰は「法的な非難という特別の意味がこめられた苦痛を内容とする」。

 刑罰に対する考え方は、正義の理念に基づく応報であるというもの、犯罪を抑止・防止する手段であるというものに大別される。

 

・刑事手続きは大体以下のとおり……捜査→検察官送致→訴追

 検察官が起訴した数のうち公判請求するのは6パーセント強である。

 

・犯罪の意味については、かつては倫理違反(倫理に反する行為を国家として処罰する)説が主流だったが、現在は利益侵害(他人の利益を侵害する行為を処罰する)と考える。

 これは、国家が特定の倫理を国民に押し付けるのをよしとしないためである。

 

 このため、わいせつ写真の販売は、国民の精神を堕落させるから犯罪なのではなく、見たくない者を保護すること、判断力の弱い未成年を保護することに焦点をあてる。

 

・刑法が守る法益は、刑罰が峻厳であることから、ごく一部に限られる。刑罰による法益保護は最終手段である。

 

・利益侵害の観点からは、自分の利益を害する行為は一般的に犯罪ではない(自傷、自損、自殺)。

 例外として、判断力のない者・未成年へのわいせつ物販売や、自殺ほう助・嘱託殺人・同意殺人(本人から依頼を受けて殺害すること)は、犯罪となる。

 

 薬物の利用は、容認することで広く保健衛生上の危機を与えるおそれがあるため犯罪となる。

 

・国家による刑罰はどのように正当化されるのか

 相対主義:何らかの望ましい目的達成のために刑罰は正当化される

 絶対主義:刑罰はそれ自体正当化される

  目的刑:犯罪予防といった目的の追求・達成により刑罰は正当化される

  応報刑:刑罰は犯罪の副作用でありそれ自体で正当化される

 

応報刑目的刑の続き……

 応報刑……犯罪は法の否定であり、刑罰は否定の否定である(カント、ヘーゲル)。同害報復の原理(目には目を)により、国歌の刑罰権を限定する意味では自由主義的である。

 問題点は、正義の実現が果たして国家の任務かどうか、正義の押し付けではないかというものがある。

 

 目的刑……国民の利益を保護するという目的で刑罰を正当化する。

 特別予防は個人の再犯を予防することをいうが、例えば賄賂を受け取った公務員はもう失職したから再犯できない、すなわち罰する必要はないのかという疑問がある。

 一般予防は、社会一般に対する犯罪抑止の観点から刑罰を正当化する考えである。一般予防自体には個人の自由保障という観念がないので、威嚇のためであればどんな重罪でも正当化されてしまう。

 

・「処罰の必要があるから処罰が正当化される」という理論だけでは、際限のない重罰化を止めることができない。

 犯罪を行ったことを、国家が刑罰をもって非難できる状態とはどういうことか。すなわち、犯罪を犯さずとも済んだことを前提としている(他行為可能性)。

 そして、非難による正当性と関わりなく、犯人の危険性に対処するための処分(保安処分)は日本では認められていない。

 

 

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 2 犯罪は法律で作られる

 日本では、罪刑法定主義憲法31条および39条において規定されている……法律主義、遡及処罰の禁止の原則。

 

 法律主義:何が犯罪であるかは、民主主義に基づき国民=国会が決める。

 遡及処罰の禁止:国民の予測可能性や行動の自由を確保するという自由主義の理念に基づく。

 

・法律主義では、刑罰を定めるのは法律であり、行政府による命令が罰則を定められるのは法律による「特定委任」がなされている場合に限る。これは国民が刑罰をコントロールできなければならないからである。

 条例は自治体独自の罰則を科すことがあるが、「命令には認められていない罰則の一般的・包括的な委任を地方自治法は条例に認めているように」みえる。これは、地方議会が民主主義的コントロールを果たしているとみなされるためだろう。

 裁判所による罰則適用……拡張解釈はいいが、類推解釈は許されない。つまり、「問題の事例は罰則が禁止した対象に含まれる」とする解釈であれば許される。

 

・遡及処罰について

 売春防止法では、売春行為は禁止されているが罰則はない。これは国家が個人の寝室にまで介入するのを防止するためである。例えば、事後的に売春行為に刑罰がついたとしても遡って処罰することはできない。

 同様に、刑の加重(後から、より重い刑に改正すること)も遡及不可である。

 最高裁判例も、解釈を確立させるという点で、法改正と同様の効力を持つ。したがって学説では、最高裁判例の解釈変更は、将来に向かってのみ適用されるとする(判例の不遡及的変更)。 ただし最高裁はこの学説を認めていない。

 

・無害な行為は原則として処罰できない。

 

・何が犯罪か、また刑罰は明確でなければならない(明確性の原則)。

 しかし、最高裁での「淫行」の解釈などは一般人の理解不能なものである等議論がある。

 

・尊属殺(死刑か無期懲役)、尊属傷害致死の規定は、刑罰が不当に重すぎるとして削除された。

 また、「法の下の平等」に反しているという意見もあった。

  ***
[つづく]