2017-05-01から1ヶ月間の記事一覧
小原保(こはら たもつ)による村越吉展誘拐殺人について書かれた本。 事件の状況、警察による捜索と取り調べ、被害者と犯人の生い立ちなどを検討していく。文章は落ち着いているが、事件を通して浮かび上がる世の中の特性が細かく書かれている。 犯人の生い…
代表的な詩とすべての詩論を収録した本。 詩の翻訳はいくつか読んだことがあり、大変印象に残っている。 *** 有名な「死のフーガ」をまた読んだところ、以前よりホロコーストの風景が露骨に表現されているように感じた。 ――彼は口笛を吹いて自分のユダヤ人ど…
制作:2015年 監督:トム・マッカーシー カトリック神父の性的虐待を調査する記者たちが題材の映画。 タイトルは、ボストン・グローブ紙内の調査報道コーナーに由来する。 演出や展開は地味だが、教会の隠ぺいシステムを追及し、被害者たちの実態を表に…
はりがねを巻くには、 夜、窓が沼のなかに 沈んでいき 金色の砂嵐が わたしたちの 幕舎におおいかぶさるのを 時計で、きっちりと 記録しておくようにと であれば きまりを守ること。 わたしは 多肉植物を食べすぎた。 夏のあいだも 装置にもぐりこみ 夢を見…
各時代ごとの政治家、官僚、軍人等の日記を紹介する。 1つ1つの章は短く、各歴史的人物とその日記のガイドのようなものである。 日記は歴史的事件から間をおかずに書かれるため、改変の度合いが少なく、当時の状況を細部まで知ることができる。 一方で、記…
石上玄一郎(いしがみ げんいちろう)(1910-2009)は札幌出身、東北で育った小説家である。 この人物を知ったのは、田中清玄が自伝のなかで、かれが尊敬すべき中学の同級生である、と言及していたからである。 作品のほとんどは、仏教的な世界観の影響を受…
古い本だが『江戸の刑罰』(石井良助)を読んでいたところ、牢屋敷における慣習のあまりの理不尽さに笑ってしまった。 牢内では、牢名主の指揮のもと、人口調節のために囚人を殺すことがあった。 ――入牢者が多いと、一畳に9人も10人も並んで、文字どおり…
植物、作物に対する病原菌兵器の開発が行われ、大陸で実験された。しかし結果は不明確である。 風船爆弾に牛の病原菌兵器を搭載し米本土を攻撃する計画もあったが、中止になった。 電波兵器(1科) 怪力光線、殺人光線ともいわれる「く」号は、怪力電波によ…
陸軍登戸研究所は川崎市生田に1939年設立された陸軍所管の研究機関であり、陸軍中野学校、関東軍情報部、特務機関等と連携して、生物化学兵器、電波兵器、風船爆弾、中国紙幣の偽札など様々な謀略戦兵器を開発した。 本書は創設から研究所及び中野学校等…
制作:2015年 監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ 息子を殺された男が、瀕死の状態から甦り復讐する物語。 実在の人物を基にした話だという。調べたところ、混血の息子の存在はフィクションらしかった。 厳しい自然の風景と、アメリカ人、フ…
たとひわれ死のかげの谷を農王系 - 13 舟 http://ncode.syosetu.com/n2907dt/13/ たとひわれ死のかげの谷を農王系 http://ncode.syosetu.com/n2907dt/ (『小説家になろう』のサーバに移動します。)
レオン・ブロワ(Leon Bloy)(1846-1917)はフランスの小説家・エッセイストで、同時代のユーゴー、モーパッサン、ゾラなどを敵とみなして攻撃していたことで有名である。 敬虔なカトリック作家といわれるが、慈悲深い説教のようなイメージを期待…
ねじの回る向きとは逆にともしびの雲の縫い目を明日はたどる 燻製のボノボがやってきたわたしはマットレスに乗り眼を移植する 赤紫の粘性のある雨浴びて雲を生きたまま食べるヨナタン
モンテスキューは黒人を人間扱いしていなかった、という引用がネット上でよくみられるが、『法の精神』の抄訳(中央公論社)を読んでいて、それは誤りではないかと疑いを抱いた。 「ヨーロッパの偉人がこんなひどいことを言っている」というおもしろさだけで…