うちゅうてきなとりで

The Cosmological Fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

2015-02-01から1ヶ月間の記事一覧

南のとりで(2011)

海の上からみどりいろの雲がモコモコと もりあがるので よくみると 芝生でできた牛の腸だった 芝は青緑に発光して 太陽を飲み込んでしまう うわあ、槍のような 光線が まぶしいときは子供たちの下にもぐる 地下司令部の薄暗闇で目をこらす ほとばしる、風よ…

『インド世界の歴史像』辛島昇

「民族の世界史」シリーズのひとつだが、インドの民族のみならず文化、歴史、宗教、生活習慣、気候などにも触れているようだ。インド地域研究といってよい。 『漢民族と中国社会』でもそうだったが、執筆者の専門分野にあまりに偏った節がいくつかあり、全体…

『ヴォス オーストラリア探検家の物語』パトリック・ホワイト

空想的で、場の空気が読めないドイツ人探検家ヴォスと、社交こそがすべてと信じるオーストラリア商人の一家とその親戚たち。ローラ・トレヴェリアンとヴォスの意識の流れは、若干とってつけたような感がある。 ヴォスは謙虚を毛嫌いする。 「自己否定の行動…

『天安門文書』張良

本書は天安門事件発生前後の情勢と中国首脳部の動向を記録した内部告発文書である。告発者はアメリカの中国研究者に記録の編纂を託し、刊行までかこつけたという。序章と、天安門事件の四年ほどまえからの情勢、および一九八九年四月からの学生運動の推移と…

今日のスペイン語 その6

¿Hay algo de comer? ■単語 ¿Qué tal?やあ mal 悪く、病気で hambre f,空腹、飢え tener hambre,空腹だ tener sed, 喉がかわいている hay, ……がある。 algo 何か algo de + V, Vするもの comer, 食べる pan m, パン mantequilla f ,バター queso m , チーズ…

『ポル・ポト伝』デーヴィッド・チャンドラー

「ポル・ポト」は政権奪取時につくられたペンネームであり、どこにでもある平凡な名前である。彼の秘密主義は徹底しており、ポル・ポトの正体がカンボジア共産党書記サロト・サルだと判明するのに一年が費やされた。 一九二八年、王家の遠縁として生まれたサ…

『人口から読む日本の歴史』鬼頭宏

日本史における人口成長には四つの波がある。縄文時代の波、弥生時代からはじまる波、十四・十五世紀にはじまる波、そして十九世紀から現代までつづく循環である。 弥生時代の波は農業革命によるもので、十九世紀の波が公業革命によるものである。残りふたつ…

『ソヴィエトの悲劇』マーティン・メイリア

四部構成で第一部は社会主義の概説を、第二部はロシア革命からスターリン時代を、第三部はスターリン以後からブレジネフまでを、四部はソ連崩壊をそれぞれ論じる。 「社会主義」「ヨーロッパ」など、自分の使う用語をしつこく定義するので頭が狂いそうになる…

『チベット旅行記』河口慧海

著者は寺の僧侶で、チベット語の原典を入手するためにチベットに入国しようとおもいたつ。当時のチベットは鎖国体制を敷いていたので気軽に入れる場所ではなかった。日本の僧が国境で追い返されたり、インドの坊主がイギリスのスパイと疑われて水死刑になる…

『中国の近代化と知識人』シュウォルツ

厳復は西洋思想を輸入・解説する際に、西洋人たち自身では気がつかなかった隠された傾向を発見した。それが「エネルギー」と「公共心」であり、英国自由主義思想の裏にある、隠された主題である。彼を分析することでまた西洋思想の隠された面をも知らされる…

今日のスペイン語 その5

練習 Carlos es futbolista. Mario y yo somos italianos. ¿De dónde eres tu? Soy de Granada. ¿Qué es esto? Es un radiador. Aurelia y Margarita son enfermeras. ¿De qué son estas estatuas? Son de Mármol. ¿Es usted medico? No, soy arquitecto. Lo…

空の肉(2011)

黒いえんとつから電波が出てきてから わたしは神さまがよだれを垂らす ように給与明細を吐き出すのを、しばしば 目にするようになった 明細のなかに掘りこまれた 罫線と アラビア数字は、べとべとの紙から浮き上がって 眼球にはりついて 二度と動かなかった …

今日のスペイン語 その4

■単語 pintor, m, 画家 futbolista, m, サッカー選手 italiano, イタリアの、イタリア人 esto これ(中性) radiador, m, ラジエーター enfermera, f, 看護婦 estatua, f, 彫像 mármol, m,大理石 médico, m,医者 arquitecto, m,建築家 dramaturgo, m, 劇作家…

『隋の煬帝』宮崎市定

なぜこの人の文章は、未知情報が多い場合にも読みやすいのか、それをいずれ考えてみたい。 *** 混乱時代たる南北朝を統一してできたのが隋王朝である。南北朝の頃からすでに人心は荒れており、暴力天子が多かった。これは後の煬帝の手本となってしまった。 …

『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』ジョン・ル・カレ

本作、『スクールボーイ閣下』、『スマイリーと仲間たち』をスマイリー三部作というらしい。 *** ル・カレの文章は皮肉と婉曲が多い。これらは相手にも同等の前提知識を必要とするので、自分はル・カレの文を理解することで彼と同じ知的レベルにいると感じて…

『ヨーロッパ文学批評』E・R・クルティウス

文学批評といっても、現代の論文作法にのっとったものではない。古典研究者であるクルティウスはまず古典古代に価値を見出し、現代をあわただしい不毛の時代と考える。 ある視点から見ることでも批評はおこなわれる。 *** ウェルギリウスは永遠の転変を描い…

柱から出てきた人間(2011)

ある日、夢を見なかった 細かい空中線たちの祈りが 聴こえる 白く腐ったサンゴの水たまりの上で 夏の踊りを踊る 星をつけたノイローゼの豚 うすむらさきの湿原にはソテツが立っている ソテツは銅製なのでわたしたちは伝送されて いつか夢のなかみをとりだし…

今日のスペイン語 その3

単語 ¿Verdad?,~ですね? derecho, 法律 madrileño, マドリッドの espléndida すばらしい gusto 喜び、好み ahora 今 cocina kitchen permiso permission con permiso 失礼します ■soy 本来的な性質、~である soy eres es somos sois son 職業、国籍、身分…

『海の帝国』白石隆

アジア地域秩序の担い手は、中国から英国、英国から日本へとかわってきた。帝国主義の時代から現在にいたるまでのアジアを、地域秩序という枠組みから論ずる。 この地域とイギリスの交流史については、ほとんど事前知識をもっていないのでていねいに読むべき…

『マンキュー経済学 ミクロ編』マンキュー

大学にいたときに適当に読んだだけで、しかも途中で投げ出した。 *** 1 十大原理 「効率efficiencyは経済のパイの大きさについての基準であり、衡平equityは経済のパイの分け方についての基準である」。 効率と衡平はしばしば衝突する(trade off にある)…

『ある男の聖書』高行健

過去の自分すなわち「彼」のおもいでと、今現在の「おまえ」を交互に並べることで対比させ、自由の象徴として性描写を繰り返しているだけではないかと感じた。 文革当時は恋愛もまた政治闘争によって制限されていたので、この語り手にとってはそれが抑圧迫害…

『文化果つるところ』コンラッド

『ロード・ジム』もそうだったが、蛮人の女にひかれて見境がつかなくなる、という心理が理解できない。 話の筋は以下の通りである。 ウィレムスという貿易会社に勤める男は一時期取引を成功させて権勢をふるうが、横領がばれてクビになる。彼の育ての親だっ…

『支那革命外史』北一輝

本書は「清末革命の前後にわたる理論的解説と革命支那の今後に対する指導的論議である。同時に支那の革命と平行して日本の対支策および対世界策の革命的一変を討論力説してある。すなわち「革命支那」と「革命的対外策」という二個の論題を一個不可分的に論…

『中国の旅、食もまた楽し』邱永漢

大陸の中華料理にこだわったエッセイで、自分のいってきた場所も紹介されている。ウルムチ、トルファンあたりの観光ルートはわれわれが行ったのとそっくりそのままで、あれほどの僻地においても観光業が確立しているのだとおどろかされた。 香港は邱永漢によ…

今日のスペイン語 その2

練習 1. Ella esta en el museo. 2. ¿Como esta usted, señorita Ayala? / Estoy bien, muchas gracias. ¿Y usted? 3. Tu estas en el museo. 4. ¿Estan ustedes contentos? / Si, estamos contentos. 5. Don Ramon esta en el teatro. 6. Tu y Fernando est…

La Guerra ~未完成のゲーム「レンガ」より~

La Guerra ~未完成のゲーム「レンガ」より~ - YouTube

『セヴァストーポリ』トルストイ

クリミア戦争の激戦地セヴァストーポリの実相を、二人称で紹介するところからはじまる。戦争の実態は華々しい行群ではなく荒れた町並みや死体、担架、野戦病院、四肢を切断された傷病兵である。こうした不快な光景にもかかわらず、ロシア兵たちは不屈の精神…

『ある異常体験者の偏見』山本七平

数冊目になる山本七平の著作だが、扱う話題は一貫している。彼の著作は、人間の情報処理を問題とする。われわれはものごとを判断する際に、まずそのものごとが正確なのか、どういう質なのかを考えなければならない。またその後の判断方法さえも、一定の傾向…

『ルワンダ中央銀行総裁日記』服部正也

著者はラバウル戦線から帰還した日銀行員で、復興開発銀行(世界銀行)からの要請を受けてルワンダ中央銀行に出向することになった。曰く、小国・貧困国であるルワンダの現状からすぐに諦めるのは誤りである、同じような状態から大国となったのが日本である。…

『エセー』モンテーニュ

ギリシア・ローマの古典からモンテーニュの時代の出来事を例にあげることが多い。こうした古典や、自身の経験を参考に、人間の性質をひとつひとつあげていく。 *** 彼の死の恐れ方は尋常ではない。おそらく現在よりも死亡率が高く平均寿命も低かったからだろ…