うちゅうてきなとりで

The Cosmological Fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

『文化果つるところ』コンラッド

 『ロード・ジム』もそうだったが、蛮人の女にひかれて見境がつかなくなる、という心理が理解できない。

 

 話の筋は以下の通りである。

 ウィレムスという貿易会社に勤める男は一時期取引を成功させて権勢をふるうが、横領がばれてクビになる。彼の育ての親だったリンガード船長は、ウィレムスを自分の取引先の島で養おうとする。ところがウィレムスは、ここでも原住民の女に手を出し、リンガードを裏切って、アブドゥルというアラビア人ののっとり計画の手引きをおこなう。これらは失敗しウィレムスは原住民の女と先妻とのあいだの修羅場に立たされ、女に射殺される。

 

 運に恵まれ、義侠心をもったものは安泰であり、変節漢・臆病者はほろびる。舞台は東南アジアだがやっていることはふつうの芝居である。登場するのは小人、侠気のある老人、ならず者、侠客、女等。小人のみじめな末路が書かれる。

 

文化果つるところ (上巻) (角川文庫)

文化果つるところ (上巻) (角川文庫)