うちゅうてきなとりで

The Cosmological Fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

柱から出てきた人間(2011)

ある日、夢を見なかった 細かい空中線たちの祈りが
聴こえる 白く腐ったサンゴの水たまりの上で
夏の踊りを踊る 星をつけたノイローゼの豚
うすむらさきの湿原にはソテツが立っている
ソテツは銅製なのでわたしたちは伝送されて
いつか夢のなかみをとりだしてみたいとおもった
わたしののどのもっと奥、高周波数の届かない
食道に深くもぐりこむ、夢の群、
ふれたものとみたものの吐しゃ物の湖に金色の
舟を浮かべて、バケツですくう

シダとサボテンに極度のあこがれをいだいている
金色の流体はどろどろとうずまいて、手渡された粘菌用の
手続き書類をだめにしてしまう
胃やその他の内臓のなかで、いつか見た夢が
時間ごとに区切られて、ひとつの束になるので
ケーブルをかかえた小さな妹が、それでも心は齢をとって
もう眼球も衰えているが
四角い箱に注ぎこんで、七色の坊主たちの唱和に
あわせて人形的な動きをこわれるまでくりかえす
電極を信じなくなったら、昼のまどろみに
おそわれた