2016-01-01から1年間の記事一覧
骨がしぼりこまれた後も、 眼球は、能力が低いため 枝と枝とのつながりを 見つけることができなかった。 葉の表面に管が浮き出し その日の太陽が、光の 無数の穴となり わたしは系統を書いた。
7 ヒトラーは武力による威嚇と小規模紛争によって野望を達成できると考えていた。 かれは一般的な侵略者のイメージとは異なり、自分からは動かずに、機会を待つことに長けていた。 英仏は、ヴェルサイユ条約におけるドイツの不満を理解しており、その要求に…
3 ヴェルサイユ条約における最大の不備が賠償金であることを説明する。 ・賠償金は戦後数年たっても確定しなかった。研究の結果、ドイツは賠償金の支払いを怠慢していたことが判明している。 ・ドイツのインフレと困窮は戦費が主因だが、ドイツ国民の大半は…
第1次大戦や、列強の覇権争いについての著作がある、イギリスの歴史家テイラーによる本。 第2次大戦の原因を、歴史学者の視点から検討する。 テイラーの本は『ビスマルク』、『第1次世界大戦』、『The Struggle for Mastery in Europe』を読んだが、どれ…
サヤト・ノヴァ(Sayat-Nova 1712~1795)はジョージア(グルジア)のトビリシで生まれたアルメニア人の詩人である。 ジョージア王朝に詩人、外交官として仕えた後、アルメニア正教の僧侶となり、トビリシや、アルメニアのハフパット修道院を含む教…
その日、視察団の一行が 粒子のじゅうたんの上を 歩いてやってきた。 青、金、銀の、馬の毛皮を加工したものに 対して、モノクルを光らせる 足の裏、足の裏たちの横断 時刻にあわせた動きが 明らかになる。 暗闇から手がのびて、そのまま 用水路に沈むものは…
制作:2005年 監督:フェルナンド・メイレレス 原題はthe constant gardener. ジョン・ル・カレが原作だがまだ読んでいない。 不正を追及する人びとを描く映画。 イギリス外交官の妻は、英国と製薬会社による不正を追及するが抹殺される。外交官は、妻の…
神道は日本独自の宗教だが、他宗教と混交し、また日本文化そのものと一体化しているため、定義が難しい。 本書は、組織制度や神社等の「見える神道」と、民間の習俗や思想の「見えない神道」という区分けを利用して、神道について説明する。 特に、現代にお…
イラク戦争における市街戦について簡単に解説する本。 白黒の写真とイラストがついており、市街戦の基礎的な事項が理解できる。1つ1つの項目における説明はあっさりしているが、全体の印象としてはおぞましいゲリラ戦、近接戦闘の風景が浮かび上がる。 ***…
――本書は、仏教界を堕落させているお金や制度の問題について、内側を知る立場から隠すことなく述べ、みなさんといっしょになって考えていただくために書かれました。 現役僧侶が住職の堕落を嘆く本であり、笑える箇所が多々ある。 時代に合わない制度や強欲…
制作:2013年 監督:ジャン=マルク・ヴァレ HIVで余命30日を宣告されたカウボーイが、自分や、同じ病気の人間のために薬を密輸入する。 カウボーイは許認可権を持つ役所に反抗し、未承認薬を販売するが、それは慈善の心に基づくものではない。あく…
武器の開発について。 兵器局、各軍種の調査官が核心となって、火砲、小銃、機関銃、通信機器、戦車、毒ガス兵器の改良が行われた。ヴェルサイユ条約で兵器は厳しく制限されていたが、共和国軍は規制をかいくぐり、高水準の兵器の開発に努めた。 ・兵務局T…
細胞だ。 これからは、香辛料のスープと、酵母菌を 食べて、 細胞的に進めていくこと。 各自の足元から、鉄のくぎで 石に穴をあけて、 長い作業が続き 迷路をつくる。 霜をはらって 頭部はあらわれた。 たっぷりと 悲惨の絵の具が 贋物の眼にぬられた。 声を…
『電撃戦の起源:ハンス・フォン・ゼークトとドイツの軍事改革』 第2次大戦におけるドイツ軍戦術の起源をたどる本。 ドイツにおける戦略および戦術の発展は、戦間期、主にハンス・フォン・ゼークト将軍によって担われた。 本書はゼークトや無名の将校たちが…
クルド人は主にトルコ、イラク、イランの3か国にまたがって居住しており、面積ではフランスに匹敵する。人口は2500万人前後であり、古来から独立闘争をくりかえしてきた。 宗派は7割強がスンニ派で、残りがシーア派、一部だがキリスト教徒やユダヤ教徒…
22 下り坂 ヒトラーは現実を受け入れられず、支離滅裂な命令を連発する。前線を観に行こうとせず、空襲被害を視察しようともしなかった。 かれは、いまに勝利するだろう、という妄想にとりつかれていた。 ゲーリングや軍高官、軍需関係の幹部たちは、この…
制作:1995年 監督:デイヴィッド・フィンチャー ブラッド・ピットとモーガン・フリーマンが猟奇殺人犯を追う映画。先日久しぶりに観た。 七つの大罪になぞらえて殺人を行う犯人に、ブラッド・ピットたちが翻弄される。 映画全体に人間性への疑いが漂っ…
人の粘土と それらが畝のように 圧縮された道を 花々と霧の道を 子供たちが前進する 標識が 星の数だけ土にささり、 もぐらたちは 眼をこする。 泥をひっかきながら その先に 石の家族が並んでいるにも かかわらず。
制作:2000年 監督:ラース・フォン・トリアー 悲惨な生活のなかで唯一のいきがいが、ミュージカルとその空想にひたることである。 大家に裏切られる一方、同僚たちは終始ビョークに対して誠実である。「ドッグヴィル」のような、人間の醜さそのものを描…
9 総統官邸での日々 ヒトラーの生活は、やはりスターリンを連想させる。かれの生活は芸術家に近く、毎日、側近とイエスマンを呼びつけて会食を行い、とりとめのない話をした。深夜はシュペーアやボルマンら一部の人間と映画鑑賞を行った。 ゲーリング、ゲッ…
ヒトラー政権のもとで軍需相を努め、戦後懲役刑を受けた建築家の自伝。かれは芸術家として異例の待遇を受け、その恩恵を受けつつ間近でヒトラーを観察する機会を得た。 子供時代からの半生が書かれているが、調子は落ち着いており、随所に建築や装飾への言及…
元原発技術者が福島第一原発の状況について説明する本。 著者は大学で原子力工学を学び原子炉設計に携わっていたが、炉の欠陥を訴える内部告発をきっかけに追放され、以後、原発廃止論者となった。 インタビューを並べたもので構成は漫然としているが、原子…
夜間の、 わたしたちの仕事は 銅山を手袋で整えること。 氏族とその奴隷たちが環になって 砂礫にくっついて 防毒の手でならしていく。 塔は空からぶら下がり トンボの神経をつながれた。 はつらつとした、生徒たちの おもいでをちぎっては 火にくべて 作業、…
ノーマン・シュワルツコフは、その後、ウェストポイントでの教官、ペンタゴンでのデスクワーク(とても時間のかかる業務)についた後、大佐となり、アラスカの旅団指揮官となる。 評判の悪かった指揮官は、毎週金曜朝に、全員にマラソンをさせ、砂場で格闘技…
CENTCOM司令官として湾岸戦争を指揮した人物が、子供時代から陸軍に入り退役するまでを書く自伝。 *** 著者の父は警察署長、軍人で、母は看護師である。 両親の教え……男は女を守らなければならない、嘘をつかない、白人のプロテスタントとして生まれ…
制作:2001年 監督:ジャン=ジャック・アノー Enemy at the gates 狙撃の仕事をほったらかしてジュード・ロウと女優が交流する映画。 市街戦の様子は悪くないが、メインとなる話にほとんど関心がわかなかった。 何かもっとよい作り方はなかったのだろう…
◆西と東 最近読んだ本……『The Looming Tower』は、イスラーム過激派の祖となったサイード・クトゥブの時代から9.11にいたるまでの、テロ運動の歴史を題材にした本である。 The Looming Tower: Al Qaeda and the Road to 9/11 作者: Lawrence Wright 出版…
ソ連崩壊後、混乱から立ち直らないロシアについて、『収容所群島』の作者が、どうすればいいかを考える本。 ロシア側が考えるロシア救済策・ナショナリズムは、あまり耳に入ってこないので新鮮に感じた。 明らかに、欧州や合衆国とは異質の思考であり、冷戦…
本書の目的……東京裁判や南京軍事法廷の判決とは異なる「歴史」として、南京事件の全体像を解明しようと試みる。 1 1937年7月に盧溝橋事件、8月に第2次上海事変が発生し、日中戦争がはじまった。この月、木更津から発進した海軍機により南京渡洋爆撃…
制作:1984年 監督:アラン・パーカー 鳥になりたいという夢想癖の青年について。帰還兵のPTSDをテーマにしているが、単純な不幸物語では終わらない。 ニコラス・ケイジの身なりや、ピーター・ガブリエルの音楽が80年代を連想させる。 バーディ [D…