うちゅうてきなとりで

The Cosmological Fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

2019-09-01から1ヶ月間の記事一覧

『細菌戦争の世紀』トム・マンゴールド その2 ――生物兵器開発と使用の実際

13 ソ連の重要施設……ベルズク、ポクロフ、オムトニンスク、ステフノゴルスク 米英のソ連施設査察と、その妨害について。 米英視察団に対する、ソ連側からの一連の妨害は、亡命科学者ケン・アリベックの『生物兵器』に、ちょうど相手の立場から書かれている…

『細菌戦争の世紀』トム・マンゴールド その1 ――生物兵器開発と使用の実際

◆メモ BBCのドキュメンタリー記者らが書いた生物兵器開発についての本。 特に米ソの軍備管理問題、南アフリカにおける生物兵器使用、イラク・北朝鮮・テロ組織による生物兵器利用について、非常に詳しく知ることができる。 ・生物兵器:核兵器に比べはる…

スノーデンの新著『Permanent Record』について

スノーデンの回顧録『Permanent Record』が9月17日発売された。 わたしはAmazonで予約したので、到着次第読もうと考えている。 Permanent Record (English Edition) 作者: Edward Snowden 出版社/メーカー: Macmillan 発売日: 2019/09/17 メディア:…

『Love Thy Neighbor』Peter Maass その2 ――隣人たちが殺し合うボスニアの様子

・若者たちはスルプスカ共和国軍に徴兵される。ここはアメリカではないので、かれらに逃げ道はほぼ残されていない。 ・バニャ・ルカに滞在しながら、著者は、目の前で虐殺と追放が進みながら国際社会が黙殺しているさまを痛感した。 ・当局はモスクを破壊し…

『Love Thy Neighbor』Peter Maass その1 ――隣人たちが殺し合うボスニアの様子

ボスニア戦争の初期に取材した報道記者による報告。 現場で見聞きしたエピソードを通して、戦争によって現れる人間の本性を探る。有名な残虐行為や、後に実際に訴追された戦犯の話題もある。 ◆所見 この現地報告は、サラエボやボスニア各地またクロアチアの…

「心」についての感想

◆心をきたえる 山岸俊男著『「日本人」という、うそ』を読んでいたところ、同じく進行中のラインホルド・ニーバー『道徳的人間と非道徳的社会』と、重複する主張があった。 「日本人」という、うそ: 武士道精神は日本を復活させるか (ちくま文庫) 作者: 山岸…

ブログの「図書案内」を修正中、また女工の話

◆『図書案内』修正中 重すぎて閲覧困難になっていた「図書案内」を改修している。 現在、「戦争と軍」、「日本の歴史」について、リンク形式を変えることで読み込み可能な形に変更している。 ◆ブラック企業 『日本残酷物語5』を読んでいる。 主題は、明治以…

『沖縄決戦』八原博通 その2 ――沖縄戦担当者の回想

◆所感 自殺? 自決? 戦況悪化につれて八原が仕える参謀長・指揮官は自暴自棄になっていき、最終的に自殺する。 米軍の降伏勧告を無視した後、死ぬまで戦えの命令を出して一足先に自殺するというこの状況を受けて、わたしは責任放棄としか感じない。良い悪い…

『沖縄決戦』八原博通 その1 ――沖縄戦担当者の回想

沖縄戦を担当した第三十二軍の高級参謀による回顧録。 ◆メモ1 ・わかりやすい状況説明と冷静な情勢分析が特徴である。 アメリカにおいて、沖縄戦に関する著作の1つとしてロングセラーとなっているのも納得がいく。 ※ 他に米Amazonでレビュー数が多いのは海…

ラインホルド・ニーバーを読んでいる

いま読んでいるニーバーまとめ本から印象に残った箇所をあげていきたい。 ニーバーは聖職者・神学者だが、現時点では、現実社会のなかで何をするべきなのかを非常に冷静に考えている人物という感想を持った。 なぜ社会の不正義はなくならないのか、また、な…

『The Rise and Fall of the Great Powers』Paul Kennedy その3 ――経済力と軍事力の関係

・同盟と戦争への漂流1899~1914 ビスマルクは、列強に囲まれたドイツが孤立するのを、複雑な同盟関係により予防した。日露戦争の時代には、植民地をめぐる英仏の対立は収束し、かわって、ドイツに対する警戒心が強まった。 英独は建艦競争を巡り対…

『The Rise and Fall of the Great Powers』Paul Kennedy その2 ――経済力と軍事力の関係

3 金融、地政学、そして戦争の勝者1660~1815 17世紀からナポレオン戦争までの特徴……ヨーロッパの多極性の完成、超国家的・宗教的理由から「国益」重視へ。 ・フランスは台頭するが、周辺国に阻止される。 ・イギリス、ロシアの勃興 ・傭兵から常…