うちゅうてきなとりで

The Cosmological Fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

むずかしい鳥


 両手に塗った、金色の

 液状の気持ちをもって

 鳥は肉をつつく

 雲の穴を抜けて、それは

 二重らせんにそって

 私たちの、まさに

 チベットの屍骸の上に

 着地した。

 

 かれらが、くちばしをもって

 王の肉、神の肉をついばむごとに

 きこえるかなあ、

 無欠の僧が、笛を鳴らすのが。

 では、これを神肉と呼ぼう。

 鳥たちの、餌付けのようすにちなんで。

 

 あるいは、

 仏塔のそばに

 双眼鏡を手にした

 遺伝病者のすがた。

 

 赤い帽子、エメラルドのコートを着たネズミが

 その名は、めこのぷしす・ほりどぅら

 音もなく、

 今日も肉をついばむ。

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