うちゅうてきなとりで

The Cosmological Fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

2016-07-01から1ヶ月間の記事一覧

用地

夜間の、 わたしたちの仕事は 銅山を手袋で整えること。 氏族とその奴隷たちが環になって 砂礫にくっついて 防毒の手でならしていく。 塔は空からぶら下がり トンボの神経をつながれた。 はつらつとした、生徒たちの おもいでをちぎっては 火にくべて 作業、…

『It Doesn't Take a Hero』Schwarzkopf その2

ノーマン・シュワルツコフは、その後、ウェストポイントでの教官、ペンタゴンでのデスクワーク(とても時間のかかる業務)についた後、大佐となり、アラスカの旅団指揮官となる。 評判の悪かった指揮官は、毎週金曜朝に、全員にマラソンをさせ、砂場で格闘技…

『It Doesn't Take a Hero』Schwarzkopf その1

CENTCOM司令官として湾岸戦争を指揮した人物が、子供時代から陸軍に入り退役するまでを書く自伝。 *** 著者の父は警察署長、軍人で、母は看護師である。 両親の教え……男は女を守らなければならない、嘘をつかない、白人のプロテスタントとして生まれ…

「スターリングラード」

制作:2001年 監督:ジャン=ジャック・アノー Enemy at the gates 狙撃の仕事をほったらかしてジュード・ロウと女優が交流する映画。 市街戦の様子は悪くないが、メインとなる話にほとんど関心がわかなかった。 何かもっとよい作り方はなかったのだろう…

コンドル作戦

◆西と東 最近読んだ本……『The Looming Tower』は、イスラーム過激派の祖となったサイード・クトゥブの時代から9.11にいたるまでの、テロ運動の歴史を題材にした本である。 The Looming Tower: Al Qaeda and the Road to 9/11 作者: Lawrence Wright 出版…

『廃墟のなかのロシア』ソルジェニーツィン

ソ連崩壊後、混乱から立ち直らないロシアについて、『収容所群島』の作者が、どうすればいいかを考える本。 ロシア側が考えるロシア救済策・ナショナリズムは、あまり耳に入ってこないので新鮮に感じた。 明らかに、欧州や合衆国とは異質の思考であり、冷戦…

『南京事件』笠原十九司

本書の目的……東京裁判や南京軍事法廷の判決とは異なる「歴史」として、南京事件の全体像を解明しようと試みる。 1 1937年7月に盧溝橋事件、8月に第2次上海事変が発生し、日中戦争がはじまった。この月、木更津から発進した海軍機により南京渡洋爆撃…

「バーディ」

制作:1984年 監督:アラン・パーカー 鳥になりたいという夢想癖の青年について。帰還兵のPTSDをテーマにしているが、単純な不幸物語では終わらない。 ニコラス・ケイジの身なりや、ピーター・ガブリエルの音楽が80年代を連想させる。 バーディ [D…

墓は白い色

おそらく、長い 円柱のなかに はさみこまれて いるだろう 1日の終わりまでに。 森と、沼の中央にむかって 児童たちを歩かせる。 氷と、雪のサンゴ、靴を やわらかくなめしていくのは、 昨日、ソ連人が 敷いた、弔問の道。 これから、わたしたちの ばい菌を …

『Rationalism in Politics and Other Essays』Michael Oakeshott その6

◆保守的であること 保守的であることとは、今あるものに満足し、未来のより良き善を求めず、失われた過去を偶像化しない傾向を指す。保守主義は身近なものを信じる。また、変化と革新を好まず、現状維持をよしとする。例え改善が行われる場合でも、それは漸…

『Rationalism in Politics and Other Essays』Michael Oakeshott その5

4 現代政治についての考察 ◆代議制民主主義における大衆 大衆の起源について考える。個人という概念が生まれたのは、14、15世紀のヨーロッパである。人間が共同体の一部にすぎず、個人という意識を持たなかった時代が変わり、自律し、自らの行動と選択…

『Rationalism in Politics and Other Essays』Michael Oakeshott その4

3 ホッブズについて ◆リヴァイアサンについて ホッブズは政治哲学の古典を生み出した。ヨーロッパの思想における3つの伝統とは、理性と自然、意志と人為、合理的意志である。それぞれ、プラトン『国家』、ホッブズ『リヴァイアサン』、ヘーゲル『歴史哲学…

冬の歴史

くい打ちの日に 氷は網目をつくる。 先端で、空気の粒が折り返す。 垢だらけの炭人間が 道具を振った。 図書のゆび、言葉のゆびは 金槌に叩かれて火花を出し、 歯がこぼれおち、 それは聴こえるはずの電報となった。 ただ一心に、うなづくことの電報を 受け…

「それでも夜は明ける」

制作:2013年 監督:スティーヴ・マックイーン 12 years a slave 原題は「奴隷の12年」。北部に住むバイオリニストの黒人が奴隷商人たちに拉致され、奴隷に仕立て上げられ、南部の農園に売られる。 19世紀の体験記を映画化したもので、話は極めて単…

あれらの夕陽

大きな道では 人びとの並べられた かたまりに 砂ぼこりがくっつく。 よだれは 黒いつららになり、 道路が軌道を変えた。 それから、この日が閉じられた。 顔を覆った男たちが 次々と、夕陽を水に沈めていく。

『Rationalism in Politics and Other Essays』Michael Oakeshott その3

2 合理主義の解剖 ◆合理的行為 混乱を呼ぶ「合理的」という語を、特に行為との関連から検討し、その起源や経緯について考える。本章では、合理的行為を望ましいもの、知的な行為として解釈する。 合理主義とは:人間の脳には理性が備わっており、この理性の…

『Rationalism in Politics and Other Essays』Michael Oakeshott その2

◆政治教育 政治は、イデオロギーや原理を原動力とする、組織への参加である。理想や原理原則がなければ、わたしたちの政治的行為は気まぐれな反応に過ぎなくなる。原理原則を持たない人間は政治を担う資格がない。 政治的行為の基礎をなすイデオロギーは、ゼ…

『Rationalism in Politics and Other Essays』Michael Oakeshott その1

イギリスの政治学者オークショットの代表的なエッセイを集めたもの。 近代以降の政治思想を、合理主義という観点から見直す。 伝統や慣習の価値を再検討し、フランス革命やロシア革命のような政治を否定する。オークショットの保守主義は、地道な改善、修正…

重水歌

検死台の上でミルクを味見する子供の声をまねするヒドラ キリル文字の顔と表皮に付着する犬には犬の死が森で待つ 重水が分泌されたいまここにいる兵隊はホスゲン物質 炉の灰が方位の山に降り積もりいつかは月の臓器も溶ける

「ワールド・オブ・ライズ」

制作:2008年 監督:リドリー・スコット Body of lies 中東でテロリストを追跡するCIAを描く。 冷淡な上司のラッセル・クロウと、現場に密着するディカプリオの対立がかぎとなる。しかし、ディカプリオも特に人道主義者・博愛主義者ではない。 CIA…

黒檀剣

水たまりの、青い泥の国から 草の胞子へ 野外の緑の人たちが 射出する、ヒドロ虫的な 毒のある胞子 秒針が止まり、まもなく 動き出す、黒檀でできた人 火葬と煙の匂いがする ロシア語の人。