10
アイスランドでの法案成立は失敗した。
ウィキリークスチームは、ホテルの部屋で共同生活をした結果、お互いに我慢がならなくなり仲違いし、著者も、無秩序とゴミ、悪臭に耐えられず帰国した。
11
アサンジの被害妄想が強まっていき、またチーム内で強権をふるうようになった。
アサンジは著者を罵り、また役立たず、敵とみなすようになっていった。
12
イラク・米軍ヘリ民間人射殺ビデオの公開について。
13
ビデオを投稿したマニングは、エイドリアン・ラモというネット上の知人に事実を告白したことで通報され、身元を特定され逮捕された。
しかし、この話には様々な裏があり、単純な仲間内の密告ではなく、米情報機関が関与している可能性がある。
告発者保護は、ウィキリークスにとって大きな課題の1つとなった。
学生組織の規則やマニュアルをめぐって、過去に情報提供者が露見したことがあった。
著者は、内部告発や情報提供を行う場合、大マスコミはセキュリティ認識が甘いためお勧めしない、と警告する。
14
アフガン戦争機密文書公開に際して、アサンジは三紙と契約した。しかしメディアが主導権を握り、スクープの手柄をとり、また独占権を手にしてしまった。
アサンジはチームに対し自身の動きをまったく伝えず、一方的に無理な指示を行った。
アサンジは一部の仲間にシステムの権限を与え、セキュリティを危機にさらしていた。また、著者がアサンジを陥れようとしている、という讒言を真に受け、著者を遠ざけ、攻撃するようになった。
――……ジュリアンは、新しいお気に入りの文句を言うばかりだった。「危機の時はリーダーに挑むべからず」
――ずっと以前からジュリアンは、有能な人間のことを「資産」と表現していた。……こうした概念にジュリアンは、特に反感を感じていなかった。ウィキリークスのメンバーはかれにとって、弾丸のえじきにすぎなかったのかもしれない。
情報提供を通じて、どの情報機関も一様に稚拙な文書を書いていることを著者は発見した。
それは高校生の幼稚な論文のようだった。
15
アサンジがレイプ容疑でスウェーデン検察庁に訴追された件について。
16
アサンジは疑心暗鬼にかられ、また自分が各国の情報機関い追われているという被害妄想を抱くようになった。
著者は、身勝手な行動を繰り返すアサンジをいさめた結果、敵認定され排除された。
17
アサンジのレイプ問題のための基金投入や、独善的な行動のために、チームからは次々と離反者が出始めた。
著者と、最大の技術的貢献者であるアーキテクトは、お互いに新しい内部告発サイト「オープンリークス」を設立した。
18
イラク戦争日誌の公開時には、ビデオ制作をめぐって大マスコミとの契約・金銭トラブルが発生した。こうした権利問題がしばしばウィキリークスを悩ませた。マスコミと対等に交渉するのは困難だったようだ。
アサンジは著者に対し、ウィキリークス内部のトラブルを漏洩するなと脅迫した。主要メンバーが抜けたため、システムは復旧しなかった。
19
外交公電事件について。
・各紙との協力
・一躍、ヒーローとなったアサンジ
しかし、著者の見解では、レイプ事件訴追は本人が言うようなペンタゴンの陰謀ではなく、アサンジ本人の行動が原因である。
外交公電を無価値だと断ずる政治家などもいたが、著者はこれに反論する。
――……それなら人びとは、いったい何を重要だと考えるのか。……レバノンの国防大臣が、イスラム教シーア派組織ヒズボラを一掃すべく、自国をイスラエルに爆撃させようとしたのは、興味深い話ではないのか? 世界の大国アメリカが国連を政治的にも社会的にもさらに弱体化させるだけでなく、そこから組織的に何かの情報を掘りだそうとしていることにも、興味をひかれないか? そしてヒラリー・クリントン国務長官が外交官たちを使って、国連の幹部級職員の情報をEメールのパスワードから生体学的な詳細やクレジットカードの番号に至るまで調べあげようとしているのは?
人間や権力が汚いことくらい知っている、といって政治に無関心を決め込む人もいるが、それでは事態は変わらない。
アサンジは反ユダヤ主義者たちと密接に協力するようになった。
ウィキリークスが、特定の団体や報道に対し、有償で内部告発情報を引き渡しているとすれば、サイトの中立性が損なわれかねない。
20
著者と「アーキテクト」が新たに設立したオープンリークスの理念について。
・格情報に応じた公開先の選択
・組織内部における権力の分散
・NGO等との連携
※ オープンリークスプロジェクトは中断し、現在著者は、内部告発サイトのスタートアップ支援を行っているという。