◆昇任選考から写真確認を外す
エスパー国防長官は、軍における昇任選考において顔写真を使用しない方針を進めるという。
顔写真を選考に用いた場合、対象者がどの人種に属しているかがわかるため、無意識の偏見を招く恐れがあるからだという。
1950、60年代に黒人が法的に差別されていた時代、軍は建国理念である自由を体現することを目標に、人種の平等を推進した。
世の中の黒人が、白人と同じ土俵で活躍できる数少ない場が軍隊だった。
コリン・パウエルは、自分が統合参謀本部議長になれたのは、差別に負けずに全力を尽くしてきた先人のおかげであることを強調している。
かれが中佐、大佐として部隊を指揮していた時期、南部の州では黒人と白人が食堂で同じ席に座ることができなかった。
第2次世界大戦中には、黒人兵からなる戦闘機部隊である「タスキーギ・エアマン」が活躍した。
かれらは、復員すると再び使用人や社会の底辺としての扱いを受けた。
米陸軍における最初の黒人将官となったベン・デイヴィス・ジュニアは、「戦闘での苦しみは死ぬときだけである、しかし差別は一生続く」といった。
コリン・パウエルは、1992年のロス暴動を鎮圧する司令官となった。かれは、暴動の根底にあるのが、黒人に対する差別的待遇にあると訴えた。
暴動を、法と秩序の観点から断罪するだけでは、アメリカ人の怒りは収まらないとH.W.ブッシュ大統領に意見具申した。
◆C.Q.ブラウン
太平洋空軍司令官だったブラウン司令官が空軍参謀総長になったという。
この人物がパールハーバー基地で訓示を行った際に話を聞いたが、非常に謙虚であるという印象を受けた。
空軍の兵隊から、若干的外れな質問を受けたときも、丁寧に回答していた。
◆生まれと門地
本人には変えようのない人種や門地、属性によって進路が塞がれるのは悲しいことである。
純血の日本人のみで構成された軍隊を目指すことにはどういう意味があるのだろうか。
親類に外国人がいた場合、日本では秘密を取り扱うに値しない、信用のない人間と判定される。
コリン・パウエルは移民2世、カーター時代の国家安全保障担当補佐官ズビグネフ・ブレジンスキーはポーランド人である。
かれらは出自ではなく自身の能力や業績によって評価を受けた。
親や親戚や結婚相手が外国人であるために、日本軍隊の主要業務から外され、総務や雑用的な仕事しか与えられない人たちを多く見てきた。
残念なのは、血筋や血統ではなく、その人間自身を見定める能力や機能を、わたしたちが持っていないことである。
ジェンキンス氏の回想録によれば、北朝鮮ではアメリカ人や韓国人や日本人は穢れた血だとして差別待遇を受けるという。
わたしはそのような国を守りたいとは思わない。
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