うちゅうてきなとりで

The Cosmological Fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

『悪童日記』アゴタ・クリストフ

 ――感情を定義する言葉は非常に漠然としている。その種の言葉の使用は避け、物象や人間や自分自身の描写、つまり事実の忠実な描写だけにとどめたほうがよい。

 大きな町から疎開してきた双子の兄弟の話。戦時下の暮らしを、感傷を排して書いてはいるが、所々に教訓めいた台詞が見られる。

 ケチな老婆、兎口の醜い女、変態のドイツ軍将校、少年愛者の女中等、問題人物が多数登場する。主人公の双子たちも純粋だが問題人物であり、刃物を使って攻撃し、盗みを働き、父親を犠牲にして亡命する。

 

悪童日記 (ハヤカワepi文庫)

悪童日記 (ハヤカワepi文庫)