トロイア戦争の英雄オデュッセウスが、知恵を使い災難をくぐり抜けて無事家に帰るための物語。
叙述よりも、オデュッセウスや神々たちの会話の方が分量が多い。また、物語も人物の報告や説話の形をとおして伝えられる。
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オデュッセウスの息子テレマコスは、地上に下りてきた女神アテネのアドバイスを受け、母ペネローペーに群がる求婚者を一掃しようと試みる。また、オデュッセウスを探すための旅に出ることを薦められる。
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不毛な会合と、テレマコスの父親捜索船の出航について。
――水夫たちは艫綱を解き、やがて自らも乗船して漕ぎ手の座につく。眼光輝くアテネは一行のために順風を起こし、激しい西風が、葡萄酒色の海の面を、音を立てて吹き渡る。テレマコスが水夫たちを促して、船索にかかれと命ずると、命に応じて水夫たちは、樅罪の帆柱を持ち上げ、帆柱受けの凹みに据えて網でしっかりと固定し、ついで頑丈によった牛革の網を引いて白帆を張る。……かくて船は夜を徹し、さらには暁の船路を、貫くが如く進んだ。
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ここまでは、テレマコスが父の行方を方々に尋ねてまわる物語。
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王女ナウシカに助けられるオデュッセウスの話。この本では、神々、とくにアテネが、オデュッセウスたちの人生をうまく操るために変身して人間社会に干渉する。
元々、オデュッセウスがイタケの自宅に辿りつけないのも、ポセイドンの子供を苦しめて、かれの怒りを買ったためである。
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人喰い巨人のキュクロプスたちに捕まるが、「誰もいない」という偽りの名を名乗り、うまく脱出するオデュッセウスの話。オデュッセウスはとある島に辿りつき、素性を問われたことで身分を明かし、トロイア戦争からの帰路、自分がいかなる災難に襲われたかを説明する。
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オデュッセウスの部下たちは自分の過ちによって次々と死んでいく。かれらはいつも誘惑や気の緩みから命を落とす。
キュクロプスに限らず、人喰い部族はたくさんおり、部下たちはくちゃくちゃに食べられる傾向にある。
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予言を聞くために冥府に行き、様々な過去の英雄や神々に出会う。ヘラクレス、オイディプス、シーシュポス等、著名な人たち。
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様々な怪物たちの危機をくぐり抜け、オデュッセウス単独でカリュプソに漂着する話。
スキュレとは……「足は12本、いずれもぶらぶらと垂れており、頗る長い頚が6つ、その1つ1つに、見るも怖ろしい首が載っていて、ぎっしりと詰まった歯が、黒き死の恐怖を漲らせて3列に並んでいる。胴体の半分は、洞窟の中に隠れているが、いくつもの首を穴から出して、その場で獲物を漁る」。
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後半は、テレマコスのイタカへの帰還、乞食に身をやつしたオデュッセウスが、生家の使用人や雇員たちを観察し、だれが忠誠心のある者で、だれが裏切り者かを判別する作業等が続く。また、ペネロペイアに近寄り、テレマコスの暗殺・財産乗っ取りを計画する婚約者たちを、討伐する作業も行われる。
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(略)
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オデュッセウスは自分の屋敷においてもひたすら身分を偽り、妻のペネロペイアに対しても嘘の来歴を話す。嘘の来歴を話す場面は、他にも各所に見られる。
ペネロペイアは、求婚者を選ぶために弓矢で12本の斧を貫き通す競技会を開催する。
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オデュッセウスは正体を現し、弓を持って暴れ出す。求婚者の中でもリーダー格のアンティノオスを射殺すると、別の求婚者エウリュマコスは助かりたいという魂胆から死んだアンティノオスを中傷する。
「……これらの悪行をひきおこしたのはこの男で……その彼が当然の報いを受けて討たれた今、われらを許していただきたい、あなたの民ではないか」
オデュッセウスとテレマコスによる求婚者の殺戮がおこなわれた。
求婚者と淫行した女中たちを縄で縊り殺す。
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