うちゅうてきなとりで

the cosmological fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

暗い回転(2011)

 組織液と、すきとおった雨を、紙に
 ひたした、そういうかたちをしたものが
 その日の夕方にドアの前に立っている、いや、
 軸を、高温のうちにねじりこんだガラスの
 のぞき穴に瞳孔を近づけてみると
 かたちと、甘ったるい香りは点滅する
 ようにつぎからつぎへと変形した
 赤と、黄色をかきまぜた壁と、レンガのひとつひとつの
 くぼみ、陰のなかに浮かんでそびえたつ
 複数の線をもった塔、
 たえずプロップエンジンの回転音をたてている、
 どす黒い、ワイヤーの束が鮮やかな
 なにもない夕陽のなかからにじみ出てくる、わたしは
 秋がもうきたことを確認する、姉も、
 弟もいない通信塔のふもとで、
 暗がりにひそむ石膏の群が、それぞれの
 家と墓にもどっていく、きょうも
 ひとつの変化がおこった
 3人でひとつの日付と、ひとつの
 棲息地をもつ、とほうもなく、細く
 伸びきった顔面の、テレタイプの音にともなって
 わたしたちの睡眠の正体を世界測地系
 打ち出していく