うちゅうてきなとりで

the cosmological fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

『瀬島龍三』保阪正康

 瀬島龍三は陸軍大学校を出て大本営参謀を勤めたあと、関東軍に送られ終戦を迎え、シベリアに十年間抑留された後伊藤忠商事で働き、晩年は中曽根内閣のもとで臨調のメンバーの一員となった。

 瀬島に関するほかの本を読んだことがないのでなんともいえないが、英雄視、伝説視される彼のイメージとは裏腹に、その実像は典型的な日本エリートであったようだ。口数が少なく物静かだが、ご機嫌取りがうまく、司令官に従って組織を動かす術に長け、また頭もよい。

 補佐官としての才覚はあるが、大局を見る目がない、とある人物には評されている。

 彼は自分が戦争指揮に深くかかわっていたことを極力ぼかし、また電報もみ消し事件やシベリア抑留時代の詳細、伊藤忠における航空機商戦の顛末については堅く口を閉ざしていた。

  ***

 本書を読む限り瀬島は自己のイメージ戦略に相当思考を割いており、腹に一物も二物も抱えている、奸智に長けた人物のようだ。ほかの本もあたるべきだが、大本営の体質や情報将校堀栄三の非凡さがよくわかった。

 

瀬島龍三―参謀の昭和史 (文春文庫)

瀬島龍三―参謀の昭和史 (文春文庫)