逃げ込んできた男アンドルーズを、なぜかエリザベスは受け入れる。彼女も森の中の家でさびしく暮らしており、直前に唯一の同居人である叔父をなくしたのだった。処女作のせいか、設定はずいぶん都合がいい。
密貿易集団に所属していたアンドルーズは、密告をする。その結果、仲間が税関を撃ち殺して捕らえられたため、証人として法廷に立つことになる。ところが、かつての同僚だけでなく税関の人間たちも、アンドルーズを密告者として軽蔑していた。彼らは陪審員だったが、自分が非難されるのは明白だった。
アンドルーズを助けたエリザベスは殺されるが、自身の命は助かる。しかし、そこで逃亡せずに警察に捕まることが親父との決別、父親の克服なのだという。再三強調するこの題目にまったく共感できなかったので、小説全体もよく見えてこない。
臆病な犯罪者の、都合のいい恋愛物語との印象が強かった。