うちゅうてきなとりで

The Cosmological Fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

古い本と新しい本 グーグルと歴史

 データを集めて考える、仮説をもとに検証するという学問の基本的な考えは不変である。しかし方法は増えている。

 

 

 ◆グーグル

 『誰もが嘘をついている』は、グーグル検索で抽出された大量のデータをもとに、隠れた事実を指摘する本である。

 

 

 従来の世論調査等と異なり、グーグル利用者は自分の本心をそのまま入力する。そして出てきたデータは、既成概念や偏見と異なる事実を示すもの多い。

 他にも、あらゆる小さなデータの積み上げが情勢把握や予測にも利用されているという。

 

 失業率と最も相関性の高い検索ワードはポルノサイトと「スパイダーソリティア」だった。

 このことは、こうしたワードの検索量によって、公的調査よりも早く失業率を推測できることを示す。

 

 人種差別は共和党南部がメッカだとされるが、実際は東高西低であり、北部の都市部でも多い。

 オバマの大統領選挙では、人種差別用語検索の多い地域で苦戦していた。
 トランプが勝つ兆候はグーグル検索に現れていた。トランプを検索する率が高く、また黒人差別用語の検索数が高い地域……北東部や北部工業地域で、トランプは大勝した。

 

 グーグル検索と異なり、SNSは真実を述べるインセンティブが働かないため、データをそのまま信頼することができない。

 高級紙『アトランティック』と低俗なタブロイド紙『ナショナル・インクワイアラー』の発行部数はほぼ同じだが、Facebook上では後者を読んでいる人は27分の1である。

 

 ――フェイスブックはデジタル自白剤ではなく、「自分はこんなにいい暮らしをしていると友人にデジタル自慢させる薬」なのだ。フェイスブック上では、平均的なユーザーは幸せな結婚生活を送り、カリブ海に休暇旅行に出かけ、『アトランティック』の記事を追いかけている。現実には多くの人々はいらいらとスーパーのレジ前に並びながら『ナショナル・インクワイアラー』を横目で立ち読みしつつ、もう何年も一緒に寝ていない伴侶からの電話を無視している。

 

 暴力・犯罪映画が上映される週末には、実際は犯罪発生率は減っていた。なぜか? 通常、攻撃的な男性は丸腰で映画館にいき、その間はバーやクラブにはいかない。また現在の映画館ではアルコールを提供することがない。

 

 借金を踏み倒す人がよく使う言葉……神、お返しします、病院、約束します、ありがとうございます、家族への言及

 

 

 

 ◆階級と死亡率

 各戦争において階級別の死亡率をどこかでまとめていないか探しているがなかなかデータが見つからない。

 

 James McPhersonによれば、南北戦争で最も死亡率が高かったのは将軍だという。これは、指揮官が陣頭に立って突撃する当時の戦闘方式のためと考える。

 

 

 

 ジェームズ・ハラスの『シュガー・ローフ』では、次から次へと日本軍に狙撃される将校の姿に関する証言が紹介されている。

 

 

――「中尉はつぎからつぎにやってきて、まるでトイレットペーパーみたいだった」……「……ある将校は着任してから15分で死んで、またつぎのやつがやってきた」

 

 本書は沖縄戦を生き延びた海兵隊の証言録であり、悲惨な場面が多い。

 

 ――「焼死体は不思議なもので、そのままだと臭いが閉じ込められていて、それほど臭わない。ただ、何かのきっかけで踏んだり、弾が当たったりすると、猛烈な臭いがするんだ」

 

 ――「……K中隊の周囲は、海兵隊員や日本兵の屍体、飛び散った肉片などで、食肉処理場のような様相を呈していた」

 

 死体を満載したアムトラックに乗っていた兵隊は、車が傾いて死体の山に埋もれそうになった。

 ――「そのうち、水も流れてきて、いろんなものが口の中に入ってきた。水に、蛆虫に、肉片も」

 

 戦闘に参加した者の多くが、PTSDになり、精神崩壊しかけていたため後送となった。

 

 

 

 ◆三権分立のいろいろな形

 裁判所についての本、元裁判官による本を読んでいるが、どうやらこの職業は〇〇隊や警察にも匹敵する息苦しい職場のようである。

 

 ――その構成員が精神的奴隷に近い境遇にありながら、どうして、人びとの権利や自由を守ることができようか? みずからの基本的人権をほとんど抑圧されている者が、どうして、国民、市民の基本的人権を守ることができようか?

 

司法権力の内幕 (ちくま新書)

司法権力の内幕 (ちくま新書)

  • 作者:森 炎
  • 発売日: 2013/12/04
  • メディア: 単行本
 

 

・裁判所は治安維持と権力保持のための司法権力メカニズムによってコントロールされており、国民の権利や裁判官の自由などには関心がない。

・裁判所は人権の砦のようなイメージで語られることがあるが、実は治安維持的・人権抑圧的である。

 裁判所は死刑を含む多くの冤罪を生んでいる。

 そして、そのターゲットは圧倒的に社会的な弱者やハズレ者、貧しい者である。

 

 

絶望の裁判所 (講談社現代新書)

絶望の裁判所 (講談社現代新書)

 

 

――留学時代には、なぜアメリカ人は基本的に自由に生きているのに、自分を含む日本人はそうではないのかということをよく考えていた。

 

 

 一方、ソ連三権分立は西洋式とは全く異なる。

 

ソ連三権分立は党、軍、KGBであり、この三者がけん制しあうのが実質の最高機関である政治局である。それ以外のあらゆる部署は、外国向けのカモフラージュ組織に過ぎない。

 

Inside the Soviet Army

Inside the Soviet Army

 

 

 

 

 ◆買い物

Call Sign Chaos: Learning to Lead

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Commando: A Boer Journal of the Boer War (English Edition)