うちゅうてきなとりで

The Cosmological Fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

年末になり、さらにリラックスする自宅戦闘員

 ◆今年、面白かった本

 読んだ冊数は例年より少ないが、大部の本をよく読むことができた。ひとえに、わたしの膨大な自由時間のおかげである。

 以下、順不同で本を紹介したい。

 

 1 『King Leopold's Ghost』Adam Hochschild

 
 1890年から1910年におこった、ベルギー人らによるコンゴでの大量虐殺と、その主導者であるレオポルド2世がテーマである。

 同時に、非人道行為に抗議するために立ち上がったイギリス人商人エドマンド・モレル(Edmund Morel)の軌跡も辿る。

 

 ――強制労働への反乱が発生すると、兵隊達が鎮圧した。兵隊たちはその証拠に屍体の右腕を切断し収集しなければならなかった。ある公安軍将校は弾薬を狩猟につかったためその後生きている人間の手首を切って提出した。部隊には、証拠の手首を燻製処理する係が存在した。

 ――こうした光景はウィリアム・シェパードらによって告発され、欧米で問題になった。人びとはコンゴから、切断された手首を連想するようになった。

 ――特に悪名高い公安軍将校Fievezは、物資徴発のために、みせしめとして100人を斬首した後こういった。

 

 わたしの目的は究極的には人道主義である。わたしは100人を殺したがそのおかげで500人の命が助かったのだから。

 

 ――他にもサディストたちが活性化し、残虐行為を働いた。コンゴの黒人の間では、白人は切った手首をひき肉にして食べているといううわさが広まった。

 

 

 2 『証言集 関東大震災の直後 朝鮮人と日本人』

証言集 関東大震災の直後 朝鮮人と日本人 (ちくま文庫)

証言集 関東大震災の直後 朝鮮人と日本人 (ちくま文庫)

  • 作者: 
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2018/08/08
  • メディア: 文庫
 

 

 関東大震災で発生した朝鮮人虐殺について、当時の証言を集めた本。
 子供たち、当時の知識人、朝鮮人たちの証言がまとめられている。

 

狸坂付近で、労働者体のやつらが5、6人で朝鮮人を井戸に投げ込み上から埋めてしまった。東坂では刀でせんじんの首をはねて川に投げ込んでいるのも見た。この恐ろしい殺人罪を見て止める人もなければ、文句をいう人もない。世はまったく無政府状態に化した。

 

 

 3 『Black Flags』Joby Warrick

Black Flags: The Rise of ISIS

Black Flags: The Rise of ISIS

  • 作者:Joby Warrick
  • 出版社/メーカー: Corgi
  • 発売日: 2016/06/02
  • メディア: ペーパーバック
 

  アルカイダイスラム国を生んだ過激化の多くはアラブ諸国の牢獄において発生した。……アメリカ軍の航空機とアラブ諸国の監獄は、アルカイダイスラム国が蔓延するうえで致命的な支点だった。

 アルカイダ構成員やムスリム同胞団といったテロ組織構成員の多くは、かつてエジプトなどの世俗政権によって弾圧され拷問を受けた者たちである。また米軍の収容所はバグダディや過激派たちにリクルート活動の場を提供した。

 

 

 4 『Reinhold Niebuhr: Major Works on Religion and Politics』

 

 アメリカ合衆国神学者ラインホルド・ニーバーの著作を集めたもの。キリスト教的世界観を元に、人間の限界を指摘し、これを無視した社会思想(自由主義共産主義、ナチズム)を批判する。

 

 あらゆる近代思想は、キリスト教の原罪を否定する。

 自由主義においては、人間は利己的ではあるが教育によって矯正可能な存在である。共産主義においては、所有物さえなくなれば人間は理想の世界を実現できると考える。ソ連の指導者が、共産主義圏に戦争はなく、争いもないと常に信じこんでいるのは、かれらが一種の信徒であることを示す。

 アメリカは、ロシアに次いで自分たちを無垢の国だと考えているが、実態は自分たちが考えるほど無垢ではなかった。建国の父たちは、アメリカが神に選ばれた土地と考えた。

 「アメリカこそ、腐敗したヨーロッパから脱却した理想の国、無垢の、自由の国だ」という愛国主義は、フランスの思想家トクヴィルも非常にやっかいなものとして19世紀初めに報告している。

 

 

 5 『On Tyranny』Snyder, Timothy

On Tyranny: Twenty Lessons from the Twentieth Century

On Tyranny: Twenty Lessons from the Twentieth Century

  • 作者:Timothy Snyder
  • 出版社/メーカー: Tim Duggan Books
  • 発売日: 2017/02/28
  • メディア: ペーパーバック
 
暴政:20世紀の歴史に学ぶ20のレッスン

暴政:20世紀の歴史に学ぶ20のレッスン

 

 

  冒頭のLeszek Kolakowskiの言葉……「政治において、騙されたという言い訳は通用しない」。

 ロシア語、ウクライナ語の文献からヒトラースターリン独ソ戦を研究する歴史学者による本。『Blood Land』、『Black Earth』(未読)などで有名である。

 プラトンアリストテレス以来、僭主(Tyrant)の出現をどう阻止するかは政治学の大きなテーマだった。

 合衆国建国の父たちは、僭主の阻止を最大の問題と考えていた。今世紀、民主主義はファシズム共産主義、ナチズムに道を譲ったが、それは不平等の拡大、無力感の増加に反応した結果だった。

 本書では歴史から教訓を学び、暴政を阻止するためにわれわれが何をすべきなのかを提示する。

 著者はトランプの登場に大きな危機感を持っており、具体的なファシズムの兆候が描かれる。内容は簡潔だが、非常に影響力の強い本である。

 同時に、ロシアの情報戦・サイバー戦に対しても注意するよう呼びかける。

 

 

 6 『The Origins of Totalitarianism』Hannah Arendt

The Origins of Totalitarianism (Penguin Modern Classics)

The Origins of Totalitarianism (Penguin Modern Classics)

  • 作者:Hannah Arendt
  • 出版社/メーカー: Penguin Classics
  • 発売日: 2017/04/06
  • メディア: ペーパーバック
 

  アーレント帝国主義論は、経済的要因によって進められたとする考え方である。

・反セム主義の変遷、ユダヤ人の歴史的な経緯について

帝国主義時代における政府と国民(特にブルジョワ)との関係

全体主義を招いた原因と、全体主義体制の特異性について

 

 

 7 『Democracy in America』Tocqueville

Democracy in America and Two Essays on America (Penguin Classics)

Democracy in America and Two Essays on America (Penguin Classics)

  • 作者:Alexis de Tocqueville
  • 出版社/メーカー: Penguin Classics
  • 発売日: 2003/06/01
  • メディア: ペーパーバック
 

 アメリカ合衆国における民主主義の性質を、実地調査を元に論じる。

 アメリカ社会は、ある面では王権国家以上に言論や少数派の自由がなく、多様性に欠如している。

 万人が平等の世界では、誰もが皆と同質であると思い込みやすく、また個人は些末で弱い存在になってしまう。皆がそう思っているからということが正しさの理由付けになり得る。

 根本的な偽善は、インディアンに対する虐殺と奴隷制度によって明らかである。

 

 

 8 『Bonhoeffer』Eric Metaxas

Bonhoeffer: Pastor, Martyr, Prophet, Spy (English Edition)

Bonhoeffer: Pastor, Martyr, Prophet, Spy (English Edition)

  • 作者:Eric Metaxas
  • 出版社/メーカー: Thomas Nelson
  • 発売日: 2011/08/29
  • メディア: Kindle
 

 ヒトラー暗殺計画に参加し処刑された牧師、ディートリヒ・ボンヘッファーの伝記。

 

 時折、神なき呪いが敬虔な賛美よりも心地よく聴こえることがある。――ルター

 

 1932年のドイツは、ヒトラーを首相に迎え入れるような情勢に陥っていた。ドイツ人は国粋主義に染まり、ヒトラーを救世主とみなしつつあった。ルターの命日を称える盛大な式典において、ボンヘッファーは「これが死者を悼む会合なのか」と、聴衆に冷や水を浴びせた。

 

 預言者の役割は神が人びとに要求することをただ忠実に話すことだった。それを人びとが受け取るか否かは、神と人びととの間の問題だった。

 

 間違った宗教を持ったことがわれわれの不運だった。なぜわれわれは日本の宗教を持たなかったのか? かれらは祖国のための犠牲を最高の善とみなす。ムハンマドの宗教もまた、キリスト教よりよほどわれわれにふさわしい。――アドルフ・ヒトラー

 

 書物が燃やされる場所では、かれらは最後には人びとをも燃やすだろう。――ハインリヒ・ハイネ

 

 

 9 『Permanent Record』Snowden

Permanent Record (English Edition)

Permanent Record (English Edition)

  • 作者:Edward Snowden
  • 出版社/メーカー: Macmillan
  • 発売日: 2019/09/17
  • メディア: Kindle
 

 特定の職員をあまりに早く昇進させた場合、かれがまだ諦めの境地に達していなかったり、理想を捨てていなかったりする。つまり、組織の腐敗や悪習に染まり切っていないということである。

 スノーデンはわずかな期間で、情報機関におけるもっとも広範なアクセス権限を持つ職員となった。

 その後、合衆国憲法と自らが信じる自由主義に忠実に行動し、違法な大規模監視を告発した。

 

 

 

 ◆健康第一

 今年もブラジリアン柔術ムエタイウェイトトレーニングを続けたが、現地の食事が高カロリーだったためか、1年前より体重が10キロほど増えた。

 最近、ニート・ホームジム充実のために筋トレグッズを新たに買ったので、引き続き戦闘力強化に努めたい。

 

 

 

 

 ◆制作活動

 これまでフィクションを書こうと思っていたが、よくよく考えて自分がほとんど小説を読まなくなっていることに気がついた。

 ゲーム制作に手を出したところ、質は最底辺だが少なくとも制作作業は続くことがわかった。

 何も作らないより、ゴミでも作ったほうがましである。

 

 ゴミ制作者の思考過程:

・UnityとUE4を勉強してゲームらしき体裁を整える

・ゲーム制作ついでにプログラミング言語を勉強する

・自作ゲームのためにDAWによる音楽制作を勉強する

・素人の自作音楽を聴く人はあまりいないが、クソゲーに音楽を搭載すれば聴く人は増える

・IT系の仕事を探すという理屈をつけてゲームPCを買い、申し訳程度にLinuxやVMWareの勉強をするそぶりをみせる

 

 なぜGTX 1660Tiではなく1660なのかといえば、一番性能を必要とするのがDAWで、ゲームに関しては特にそこまでハイスペックのものはやる予定がなかったからである。

 

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無職戦闘員の魔窟……デュアルディスプレイ仕様だが片方は家族に貸与中

 

 

 

 ◆来年の目標

・今やっている作業の継続(ゲーム・音楽制作、読書、戦闘力)

・旅行:ニューメキシコ州、イラン、ポーランド、ロシア

・ロシア語留学(ベラルーシ? キルギス?)

・職探し(強制宴会余興で裸でAKBを踊らなくていい仕事)