うちゅうてきなとりで

The Cosmological Fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

2017-04-01から1ヶ月間の記事一覧

『ペリリュー・沖縄戦記』ユージン・スレッジ その2

もっとも精神を痛めつける武器は砲弾で、特に無防備な状態で砲撃にさらされることは、ベテラン兵士であっても耐えがたいものだったという。 海兵隊は仲間の絆を重視し、実際、信頼関係があったからこそ力を発揮できたと著者は回想する。 ――珊瑚礁岩の染みを…

『ペリリュー・沖縄戦記』ユージン・スレッジ その1

海兵隊に志願し、パラオ諸島ペリリュー島の戦い、沖縄戦に参加した兵隊の回想録。太平洋戦争の様子が細かく書かれており、兵隊たちの悲惨な状況を知ることができる。 構成は次のとおり。 ・志願とブートキャンプ ・ペリリュー島の戦い ・沖縄戦 著者は戦争に…

『幕末の天皇』藤田覚 その2

4 鎖国攘夷主義の天皇 孝明天皇即位の時代には、外国船が次々に訪れ開国と通商を要求していた(1844年以降)。 幕府はアヘン戦争の二の舞を避けるために、朝廷や諸国大名に助言を求めた。 1853年のペリー来航後、幕府は日米和親条約、日英和親条約…

『幕末の天皇』藤田覚 その1

本書の趣旨:光格天皇は天皇の権威復興に力を注いだ。続く孝明天皇は幕府の方針に反対し、鎖国攘夷を強硬に主張した。その後主張を翻すが、過激派を制御できず、結果的に民族主義を高揚させ、討幕運動を巻き起こした。 明治天皇は新たに王政復古の下で政治を…

次世代型竹槍

無職戦闘員は夢のなかでむかしの思い出を――これも夢または妄想だが――を手入力した。 ◆予科練平和記念館と棒振り運動 茨城県阿見町の予科練平和記念館はすばらしい施設である。 予科練における銃剣術の写真に関して、「当時の銃剣術は、現在の銃剣道よりもよ…

「アメリカン・ギャングスター」

制作:2007年 監督:リドリー・スコット 1960年代末から70年代にかけてニューヨークで活動した、黒人麻薬ディーラーについての映画。 マフィアの立身出世と、汚職警察のなかで公正を貫く刑事の話とが交差する。 フランク・ルーカスはベトナムから…

『生物兵器』ケン・アリベック

ソ連による生物兵器開発の概要と、崩壊後、一連の技術が北朝鮮、イラン、過激派等に流出していった疑惑についての本。 著者は元ソ連生物兵器製造組織最高責任者であり、アメリカに亡命後この本を出版した。 生物兵器の危険は間近にせまっている。病原体は安…

たとひわれ死のかげの谷を農王系 12 保安局のアカデミー

http://ncode.syosetu.com/n2907dt/12/ たとひわれ死のかげの谷を農王系 12 保安局のアカデミー たとひわれ死のかげの谷を農王系 - 12 保安局のアカデミー たとひわれ死のかげの谷を農王系 http://ncode.syosetu.com/n2907dt/ (『小説家になろう』のサ…

2017年のNO JOB COMBATANT(2017.4)

新しい年度が始まりましたが、無職戦闘員は、引き続き、永遠にやって来ない戦闘にそなえて、訓練を実施しています。 ◆旅行 2016年はジョージア共和国、今年の1月にはボスニア・ヘルツェゴビナ、スロヴェニア、クロアチアに行ってきました。 次に行って…

『阿片常用者の告白』ド・クインシー

どのようにして阿片中毒者になったか、また阿片の服用についてを説明する本。 著者のトマス・ド・クインシーは19世紀前半に活動したマンチェスター出身の評論家で、麻薬を扱う本書はボードレールやベルリオーズにも影響を与えた。 本書に登場する阿片チン…

指と糸きれ

電気のない部屋に 黒い、 ヌビア人の手。 人間レンガのひび割れた 稲妻文様から わたしの太陽光線と 雨の空気が さしこんだ。 古い幕舎にも その日の配給が なされた。 わたしたちは、胃の壁に 指でこすりつける程度の ほどこしを受け取った。 口からは 蟹の…

『たった一人の30年戦争』小野田寛郎

新聞で連載されていた文章を集めたもの。 作者は徴兵後、予備士官学校を卒業、中国語等の語学力を買われ中野学校二俣分校に入校しゲリコマ戦術を学ぶ。終戦間近にフィリピンのルバング島においてゲリラ戦の指導を命じられた。このときの命令が、絶対に玉砕せ…

「トラフィック」

制作:2000年 監督:スティーブン・ソダーバーグ 麻薬戦争に関わる3つの風景をまとめた映画。 ・メキシコの麻薬組織と警察 ・合衆国の麻薬対策本部長とその家族 ・麻薬マフィアの家族と、マフィアを追う刑事たち 刑事や判事の力が弱く、麻薬の蔓延や、…

『茶道の美学』田中仙翁

茶道における美とは何かという原理を考える本。 冒頭から床の間や内装の細かい美的感覚についての薀蓄が始まる。大まかな歴史に沿って説明されてはいるが、茶道知識のまったくない人間には大変読みにくい。 *** 1 床の間、土壁、茶器を手に取ったときの感触…