うちゅうてきなとりで

The Cosmological Fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

2015-01-28から1日間の記事一覧

シホテ・アリニの計画

いま、このときをもって口のなかからもうひとつの空域がうまれる ことがわかった 実際におきたことなのでわかる 口腔に すきまなくべっとりと粘膜が塗りこめられて、表面がひとつに つなぎあわさると波紋がうまれた、それはのどの構造を よく知っているもの…

『百姓から見た戦国大名』黒田基樹

藤木久志、勝俣鎮夫、蔵持重裕からの引用が多い。彼らの本にもあたるべきである。 *** 小田原北条氏は伊勢宗瑞(北条早雲)からはじまり氏綱、氏康、氏政とつづくが、いずれの代替わりも飢饉による「世直し」要求に応じたものである。信玄武田晴信が父信虎を…

『信長の天下布武への道』谷口克広

尾張守護斯波氏を押しのけ戦国大名となった織田信秀を受け継いだ信長は、まず身内を固め、また二心のある身内を先手先手を打って殺し、つづいて美濃の斉藤道三と結び、今川を破る。信長の敵は、駿河・三河の今川、甲斐の武田、道三の息子斉藤義龍、三好、六…

『信長軍の司令官』谷口克広

信長の領土拡大が詳細に述べられている。 *** 一五六八年、信長は足利義昭を奉じて上洛する。この後近江および畿内から逃れ、一五七三まで天下統一は進展していない。一五七三年、天正元年から本能寺の変で倒れるまでの九年間に日本の半分を統一する。四方の…

『信長の親衛隊』谷口克広

常に武将のそばに仕え、雑務をこなし、戦場においては本陣を固めるものを近習という。信長の近習には軍事・警察任務を担当する馬廻(うままわり)、身の回りの世話をする小姓、書記をつとめる右筆、雑事をつとめる同朋衆、ほか、各自仕事をこなす奉行衆がい…

『The case for literature』Gao XingJian

高行健の活動は演劇が中心であり、これを読まないことには全貌を知ることができない。劇中で展開されているニーチェへの批判にとくに関心がある。 *** 「主義のないことへの前説」では、"without isms"が何であり、何でないかを痴呆のように列挙している。主…

『鄧小平』矢吹晋

鄧小平は四川省の生まれであり、生家は客家で、朱元璋の高級軍人を祖とする。フランスに留学し、帰国とともに共産党のたたかいに参加する。国共内戦のなかで鄧小平は頭角をあらわし、軍功をあげる。四九年の人民中国成立時には、毛沢東、劉少奇、周恩来、陳…

『香港』ジャン・モリス

香港は広東人、客家人、ホクロー、タンミンとよばれる水上生活者の住む漁村であり、群島には「ラドロンズ」とよばれる海賊がひそんでいた。 アヘン戦争によって香港はイギリスの直轄領となり、その後第二次アヘン戦争で対岸の新界も手に入れた。しかし上海に…

『中国 危うい超大国』スーザン・シャーク

中国にとって第一の危険は社会擾乱であり、胡錦濤が「社会的安定」「和諧社会」をとなえるのはこのためである。中国経済は米国との共依存関係にあり、どちらかがコケると相手も損害をこうむる。またドル人民元のレートは管理されているが、これが自由化され…

『尖塔』ウィリアム・ゴールディング

大聖堂を舞台にした、ゴシック小説の雰囲気をもつ話である。 大聖堂の参事会長ジョスリンは、二〇〇フィートを超える尖塔を、大聖堂の上部に増築しようという野望にとりつかれており、模型を片手にいつも堂内を徘徊している。 大工の棟梁ロジャーは大聖堂の…

『Growth recurring』Jones

「成長の循環」もしくは循環する成長という題名の本。 *** イギリスの産業革命によって地球規模の経済成長がおこった、という定説は認めながらも、本書はより広い視野を提案する。成長のきざしは非西洋、前近代においても見られる。また経済成長は、障害物、…

『Blood meridian』Cormac McCarthy

民間「ジークフリート」か、中世のピカレスク風の速度で少年が育つ。少年はすぐに家を出て悪党の道をふみだす。 "Outer Dark"よりも叙述は簡潔で、舞台もにぎやかな開拓地のようだ。荒くれ者との喧嘩、ナイフ戦闘、寝込みを襲って殺し宿屋ごと火をつけて逃げ…

『The Road』Cormac McCarthy

塵のつもった、誰もいない道、雨などの風景のなかで、カートを転がす父と子供が歩いている。父と子は寒さに耐えつつ、南に向かい、雪と塵のつもった山間部を越える。唯一であった人影は、彼らの前方をよろよろと歩いていた男だけで、この男も雷に打たれたら…

『シュンペーター』伊東光晴・根井雅弘

前半はシュンペーターの評伝、後半は彼の経済理論に割かれている。 シュンペーターとケインズという、対照的な二人の紹介からはじまる。ケインズは英国の経済立て直しという短期的視野(時間の相のもと)に基づいて研究をおこなった。対してシュンペーターは…