今読んでいる本はハンナ・アーレントの『The Origins of Totalitarianism』(全体主義の起源)で、近代に生まれた反ユダヤ主義が、帝国主義の時代を経て、最終的に、20世紀の特異な現象である全体主義(ナチスドイツやスターリン体制)を生み出した経緯をたどる。
著者の『エルサレムのアイヒマン』が非常に面白かったので、今後も他の本を読んでいきたい。
The Origins of Totalitarianism (Harvest Book, Hb244)
- 作者: Hannah Arendt
- 出版社/メーカー: Mariner Books
- 発売日: 1973/03/01
- メディア: ペーパーバック
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独ソ戦における赤軍の実像を描く『Ivan's War』や、武装SSに関する本、『ペリリュー・沖縄戦記』を読んでいて、現代世界では、どの戦争、どの軍であっても、必ず敵に対する憎悪、人種主義がついてまわることに気がついた。
――……あの戦いのさなか、海兵隊員たちは間違いなく、心の底から、激しく日本兵を憎んでいた。こうした憎悪を否定したり軽視したりするなら、私が太平洋の戦場で生死を共にした海兵隊員たちの固い団結心や熱烈な愛国心を否定するのと同じくらい、真っ赤な嘘をついていることになるだろう。(『ペリリュー・沖縄戦記』)
Ivan's War: The Red Army at War 1939-45 (English Edition)
- 作者: Catherine Merridale
- 出版社/メーカー: Faber & Faber
- 発売日: 2011/03/17
- メディア: Kindle版
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そもそも理想的な軍隊は存在せず、戦争は必然的に醜い憎悪を伴うものなのだと考え直すようになった。
どれだけきれいごとや理想で取り繕っても、戦うこととはすなわち、憎悪と差別的感情を盛り上げることである。
敵に対する憎悪や醜い人種差別的感情に支配されているのは、実際に敵と対峙する前線の兵隊だけだろうか? わたしはそうは思わない。
無職としての経験上、いわゆる裏方的な仕事や、インテリジェンス的な仕事を担当する人びとと接したことがあるが、かれらの世界観は保〇速報やキムチ〇報に基づいていた(全員がそうだとはいわないが)。わたしがそれを知ったのはかれらが休憩中によく閲覧していたからである。
かれらは人間性が欠如しているのかというとそうではない。
サバゲー公務員の世界では、旧軍の誇り高い伝統を受け継ぎ、部下をうつ病にすることに命をかけている人物や、いじめてやめさせるのを生き甲斐にしている人物もいる。
しかし、差別的な発言は必ずしも問題人物から出てくるわけではない。
信頼されている中年作業員が、在日朝鮮人を攻撃する記事をFacebookで盛んにシェアしていたり、温厚な若者作業員が「中国と朝鮮は亡ぼせばよかったんですよ」としれっと口にする。
おそらくこの人たちに欠けているのは想像力と、基本的な教育だと考える。
遠い昔、わたしが無職末端作業員だったとき、職場の上司たちにカラオケに連れていかれたことがあった。同僚の1人が韓流ドラマかスロットかの曲を歌ったところ、長老格の作業員が「おいおまえ、次、ハングルの歌なんか歌ったらしばくからな」と激高して、しつこく怒られたことを思い出した。