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1940年から41年にかけて、再び新兵募集をめぐって陸軍と武装SSが対立した。
SS募集担当のベルガ―、SS参謀総長ユットナーらは、陸軍の眼を欺いて新兵募集を行った。併せて、占領国の北方人種や民族ドイツ人を集めて、新たに部隊を編成した。
ゲーリングは空軍の拡大を、ゲッベルスは宣伝相の拡大を行っていた。ヒムラーは強制収容所やSD、ゲシュタポを保有していたが、それらは極秘事項であり、また名誉を与えるものでもなかった。よって、ヒムラーは武装親衛隊を大々的に宣伝することで権力の増大を図った。
5
・共産主義勢力の絶滅
・下等人種、ユダヤ人を絶滅させ、人種戦争に勝利すること
1941年6月から始まった独ソ戦は絶滅戦争となり、ドイツ軍と武装SS、赤軍が相互に捕虜殺害を実行した。武装SSは敵味方から賞賛される一方、市民に対する殺戮等を行った。
フィンランドでは、質の低い師団「ノルト」が敗北していた。武装SSの実力は、イデオロギーだけでなく、兵の練度、装備、指揮官の力にも依存していた。
6
外国人兵の数は、終戦時には本国ドイツ人を上回っていた。
その主要グループは「ラトビア人、エストニア人、ウクライナ人、ボスニア人、クロアチア人、セルビア人、アルバニア人、ハンガリー人、ルーマニア人、ブルガリア人、およびロシア人等の東欧人と、東欧にいる、いわゆる「民族ドイツ人」」だった。
西欧からはオランダ、ベルギー、フランス等からの参加があった。
かれらは必ずしも志願ではなく、また理想主義に燃えていたわけでもなかった。
非ゲルマン人部隊が増えると、「世界観の軍隊」である武装SSはイデオロギー上の整合をとらなければならなかった。人種的な話題、ドイツ帝国拡大の目的は伏せられ、「ヨーロッパ連合」という神話が用いられた。
西欧・北欧からの義勇兵連隊が作られたが、ドイツ人からの蔑視によりすぐに関係が悪化した。
大戦後半には、本国で反逆者扱いとなった親独派たちが義勇兵となり、東部戦線で戦った。
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1942年、独ソ戦の戦況悪化により、民族ドイツ人からなる外国人義勇兵は徴兵となった。同時に、本国ドイツ人部隊も徴兵となった。
ラトビア人部隊、エストニア人部隊、ボスニアのイスラーム教徒による「ハントシャール」や、ウクライナ人部隊が編成された。
西欧人義勇兵が良好な戦果を挙げたと評されているのに対し、東欧人義勇兵の評価は総じて低かった。
民族ドイツ人は練度が低く、ドイツ語がわからないふりをしてドイツ人から不評を買った。インド人部隊、イギリス人部隊等は、名目上、宣伝上存在していたにすぎなかった。
8
高い評価を受けた武装SSはすべてエリート選抜によるドイツ人部隊である。
具体的には、「ライプシュタンダルテ」、「ダス・ライヒ」、「髑髏」、「ヴィ―キング」(ゲルマン人、フィンランド人からなる)、「ホーエンシュタウフェン」、「フルンズベルク」、「ヒトラー・ユーゲント」である。
これらエリート部隊は各地を転戦した。
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武装SSは主要作戦に用いられたが、徐々に戦況は悪化した。シュタイナーはベルリン戦でヒトラーに無謀な命令を下されたが無視した。ヒトラーは国防軍のみならず武装SSにも裏切られたと感じ自殺した。
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武装SSとSSは組織上は同一だったが、SSの収容所管理業務はやがて別系統(SS経済管理本部)に移された。しかし、武装SSと収容所との人事交流は日常的に行われており、武装SS隊員たちは間違いなくホロコーストについて知っていた。
戦後、武装SSのOB会や、クルト・マイヤー、フェリックス・シュタイナーらが組織の擁護を行ったが、かれらは武装SSと収容所、戦争犯罪との関連については沈黙している。
アインザッツグルッペンの隊員の大部分は武装SSから補充されており、罪を免れることは不可能である。
ディルレヴァンカー部隊、カミンスキー部隊は戦争犯罪行為により悪名高い。
その他、固有の狂信性、勇敢さから多くの戦争犯罪に加担している。
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――……多様性こそが戦時中の武装SSの特徴だったのである。武装SS部隊で肩を寄せ合っていたのは、若い理想主義者、不屈の傭兵、頭の弱い田舎者、人間性を喪失した強制収容所看守、燃える目をしたヒトラー・ユーゲント、まごついた被徴兵者、筋金入りのナチ主義者、そしてドイツ語をほとんど、あるいはまったく理解できない数千人の外国人であった。それでも最後には、ナチ・イデオロギーだけは残されていた。
著者は、武装SSは幼稚な理想主義と獰猛な傭兵精神が充満する部隊だったと評価する。
***
党が生んだ暴力組織である武装SSの概要がわかる。武装SSは国家社会主義イデオロギーを軸として、様々な参加者が集められた部隊だった。
詳解 武装SS興亡史―ヒトラーのエリート護衛部隊の実像 1939‐45 (WW selection)
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