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『インテリジェンスの基礎理論』小林良樹 その2

 インフォメーションの分析に関して、以下のような問題が生じる。

 

・インテリジェンスの政治化(政治に従属し、または政治を操作するために、収集分析が曲げられること)

・ミラー・イメージング(自分がこうだから相手もこうだろう)

・クライアンディズム(分析対象に愛着がわき冷静な判断ができなくなること)

・レイヤーイング(担当の引継ぎを通して、誤った情報が蓄積していくこと)

・グループ・シンク(付和雷同、なれ合い)

・麦ともみ殻(インフォメーションが膨大すぎて取捨選択ができない)

・Need to KnowとNeed to Share(各部署が情報を共有せず意思疎通が図れない)

 

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 情報分析について。

・課題設定

・能力と意図の評価

・国内情勢・対外関係

・個別インフォメーションの評価(比較、クロスチェック、情報源の信頼性評価)

・結論の明示

 

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 その他のインテリジェンス機能として、カウンターインテリジェンスと秘密工作活動(covert action)があげられる。

 カウンターインテリジェンス……人的管理の充実(セキュリティクリアランス等)、物的管理の充実(保全設備、体制等)、二重スパイの養成、サイバーセキュリティ防護

 秘密工作活動……プロパガンダ、政治活動、経済活動、クーデター、準軍事的活動

 

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 冷戦が終結し、インテリジェンスコミュニティはテロリズム大量破壊兵器の拡散、サイバーセキュリティ、国際組織犯罪、国際経済問題、健康・環境問題への対応を迫られている。

 

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 インテリジェンスに対する民主的統制には、立法府(議会)を中心として統制する型と、行政府内(監督官等)で統制する方式とがある。

 米国とイギリスでは制度が異なる。これは、インテリジェンス機関に対する国民の信頼性や歴史も関係している。

 

 ――我が国においては、第2次世界大戦前および戦中における特高警察の事例等もあり、インテリジェンス機関が国民に対する圧政の道具として利用された実体験が歴史上の記憶として依然として残っているとみられる。

 

 スノーデン事件は、合衆国民の間に、インテリジェンス機関への不信や批判を招いた。

 秘密情報や、個人の権利に関わる事項を取り扱うインテリジェンスを、主権者がどのようにコントロールしていくかが重要な問題である。

 

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 日本のインテリジェンス・コミュニティについては、従来次のような批判がなされてきた。

・要求付与機関の不在

・情報収集機関の不在、特に、HUMINT部署の不在

・各機関の連携、協力の不在

・CI体制の脆弱性

・ICに対する民主的統制が整備されていない

 

 米国では、9.11およびイラク戦争の失敗を受けて、各機関の連携、すなわちNeed to Shareの必要性が認識されるに至った。これを受けて、大統領直轄の国家情報長官(DNI)を創設し、すべてのICを統括するよう設定された。

 

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 2 応用編

 特にいくつかのテーマに焦点を当てて問題点や現状を検討する。

・インテリジェンスの定義について

・米英のインテリジェンス文化の違い……ICの統括機関、インテリジェンスの失敗の原因、学術研究、民主的統制

・政治とインテリジェンスの関係について

・大学等における教育について

 

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 用語

 BfV:ドイツ憲法擁護庁

 BND:ドイツ連邦情報庁

 DIA:米国防相国防情報局

 FBI:米司法省連邦捜査局

 FSB:ロシア連邦保安庁

 GCHQ:英国政府通信本部

 DGSE:フランス対外安全保障局

 KGB:国家保安委員会

 MI5:英国保安部SSの俗称

 MI6:英国秘密情報部SISの俗称

 NSA:米国防相国家安全保障局

 SVR:ロシア対外情報庁

 DNI:米国国家情報長官

 IC:インテリジェンス・コミュニティ

 CI:カウンターインテリジェンス

 

インテリジェンスの基礎理論

インテリジェンスの基礎理論