戦後の学生運動時代から、最近までの過激派の犯罪を紹介する。事件の概要と、当時の背景が説明され、左翼運動の変遷、組織の展開を知ることができる。安保闘争、新安保闘争の時代には、活動家に加えて、大学生や労働者もデモ等に参加していた。やがて、一部過激派の活動が凶悪化するにつれ、支持者が減少した。
過激派
暴力行使を肯定し、テロを行ったため、警察によって取締りを受ける。大人数による襲撃、火炎瓶の使用、爆弾によって、警察官が頻繁に殺害されている。
マルクスレーニン主義に基づく組織であり、鉄の紀律や、独特の思想を受け継いでいる。内部の権力争いや抗争が激しいらしく、これを原因とする殺人がもっとも多いという印象をうけた。
日本赤軍による海外でのテロ、ハイジャック、空港乱射等、連合赤軍の立てこもり、独立集団による連続企業爆破事件等、大規模なテロや暴動等がおさまってからは、延々と抗争による殺人事件やリンチが続発する。
具体的な宗派としては、革マル、中核派、革労協の3団体が、互いの構成員を狙って攻撃した。
80年代後半から、90年代にかけて、犯罪はより小規模になる。中核派等によるロケット弾発射が続発し、また、天皇の交代に際しては各宗派が小規模テロや犯罪をおこした。
革マルの権力謀略論……革マルは、対立宗派に対して一方的に勝利宣言を下した。このため、以後の革マルに対する襲撃は、すべて国家や米国の陰謀と解釈される。サカキバラ事件についても、革マルは、国家の陰謀であるという見解を唱え、兵庫県警や検察その他の機関に対して盗聴等の犯罪行為をはたらいた。
革マル等過激派の理論や文言……大げさで、仰々しい、現実を都合よく解釈して、正当化、自己弁護をくりかえす。内部の人以外にはあまり説得力がなさそうだ。
過激派は犯行後、機関紙によって声明を発し、場合によっては記者会見をひらく。
これらの組織がどのような軍事訓練を行っていたのか、また、警察無線傍受や、調査技術、盗聴手段等は、どのように発展していったのかに関心をもった。