左手を、焼け焦げるにおいと
通知されない電報でくるまった
手で、海底ケーブルをなぞっていくと
門の外に出た
塩水が、どうぶつの毛皮と皮フに
しみこんで、鼻の奥をさす
ような刺激がつたわり、とぎれた
とおもうとまたつづく
風景のなかにかくれていた
子供たちは、畑と、まばらな
くさむらにころがった
さまざまなもの、つぶれた車、鉄塔の
骨から骨を、あやとりのように
くぐりぬけた状態で吊るされている
姉とそのそっくりの群の頭部、
ぶどうの房状にひろがり、風景のあらゆる
角度にむかって、具体的な名前
だけを放射している、しかし、電気信号に
変質していてききとれない
畑のなかにみえない線が
ひかれて、海を切り分けて
いる、自分たちのもちものである
図形を管理する
子供たちが手を振ったのでわたしは
準備ができたとおもった、小さくて
白い、指でおすとやわらかく
へこんで、すぐにふくらみそうな
腕のつけねからブチっと
はずれた、彼らは親から受け継いだ
ものを律儀に返納する