うちゅうてきなとりで

The Cosmological Fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

2015-02-01から1日間の記事一覧

フィクションについて

どんなフィクションを読んでもいまいちおもしろくないのはなぜか。 10年ほど前はもっと感心していた気がするが、最近は途中で投げ出すか、飛ばし読みすることが多くなった。 適当に思いつくものでは、『キャッチ=22』、『ヘリオーポリス』、パールバッ…

回折

鳩胸の、ひゅうひゅうと 吹く音がする 二重化された胴体の 顔と部位と、装備品を シェルターの奥にしまい込み いま、このときに 銀時計の、 針をわたしは調整する。 架空の時間を 切り分ける仕事。

『レーニンの秘密』ドミートリー・ヴォルコゴーノフ

元ソ連軍人の歴史家によるレーニンの伝記で、英訳で買ったほかの本と同様評価が高い。ポルポトは共産党史を読むことで権力闘争を勉強したらしい。 *** スターリンが批判されてからソ連が崩壊するまで、レーニンは聖人でありつづけた。人道観念の欠落したレー…

『ケインズ』スキデルスキー

ケインズの人間としての側面、生涯、『一般理論』などの著作の解説などを一冊にまとめた評論である。 *** 故人をしのぶ知人たちの映像が、つぎからつぎへと切り替わっていくように、同時代の経済学者、政治家、多種多様な知識人たちがケインズを評する。 彼…

『遊心譜』宮崎市定

雑誌への寄稿や、書籍の紹介などを集めた本である。 長く中国史の研究にたずさわっておりながら、偏った視点に落ちこんでおらず、当時の共産中国に対しては苦言を述べている。思想やイデオロギーの問題に一見感じられる中国とベトナム、中国とソ連との抗争に…

『敦煌』井上靖

人間の戦争と転変を、雲の上から眺めているような静かな歴史小説である。 主要な人物は三人、科挙に落ちて西域に流れた趙行徳、西夏漢人部隊の将、朱王礼、亡びた王朝の末裔である尉遅光(うっちこう)である。 趙行徳は、ウイグル王族の女を犯すとき、西夏…