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The Cosmological Fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

『無人暗殺機 ドローンの誕生』ウィッテル その2 ――戦争形態を変えた無人機の歴史

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 オハイオ州デイトン・ライトパターソン空軍基地には第645航空システム群、通称「ビッグサファリ」が存在する。迅速な調達により兵器を改造する秘密の部隊であり、高級将校でも知らない者が多かった。

 ビッグサファリは、空軍が引き継いだプレデターの改造や改修を担当することになった。

 運用部隊である第11偵察飛行隊はボスニア紛争終結後もコソヴォでの監視任務を続けた。

 米軍に被害を出すことなく、コソヴォセルビア人勢力を空爆するためには、航空機の高度を保ちつつ、雲や霧に覆われた目標物(高射砲や戦車)を爆撃することが求められた。

 ビッグサファリは空軍の指示を受けて、レイセオン社のレーダー照準装置をプレデターに取り付けた。プレデターが照射するレーザーを、航空機のミサイルが追尾し爆撃するという仕組みだった。

 照準装置とパラボラアンテナの電波干渉など課題は残ったが、この「ワイルド・プレデター」計画は、無人機の新たなる段階……殺傷能力の付与へと道を開くものとなった。

 

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 1999年前後から、アルカイダが米国の脅威として認識されるようになった。大使館テロ事件を受け、CIAと国防総省が予算を折半し、新しいプレデターの運用に取り組むことになった。

 「アフガン・アイズ」計画は、CIAの予算を使い、プレデターにアフガンのウサマ・ビン・ラディンを偵察・監視させるというものだった。

 アルカイダや周辺国、NATO諸国に対し活動を秘匿するため、無人機と衛星地上局はウズベキスタンに、GCSはドイツ空軍基地に設置された。それぞれが衛星通信を利用し連接される仕組みである。

 

 2000年、駆逐艦コール爆破テロが発生した。程なくして、ACC(航空戦闘軍団)司令官ジャンパー大将は、プレデター武装させようと考えた。

 

 ――プレデターに武器を取り付ければ、革命的な変化がもたらされるだろう。無人機はいずれ、単なる偵察機を大きく超えたものになるだろう。武器を取り付ければ、無人機はリモコン式殺人マシンになる。

 

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 無人機にレーザー照準器と小型のヘルファイア・ミサイルを取り付ける検証が行われた。

 当初、武装無人機は巡航ミサイルに分類され、INF条約に抵触するのではないかという懸念があったが、政府の見解により無人機はプラットフォームであるということになった。

 

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 2000年になり、情報機関からはアルカイダによる大規模テロの警告が相次いでなされた。

 ブッシュ政権大統領補佐官リチャード・クラークは、武装プレデターによるビン・ラディン暗殺計画を進めるようCIAと軍に要求した。しかし、CIA長官ジョージ・テネットも軍も、暗殺の責任を負うことには消極的だった。

 

 計画にはいくつかの障壁があった。

 

・暗殺を禁じる大統領令(これを回避するため、ビン・ラディン暗殺は「自衛」だと閣議決定された)

・CIAが、無人機による暗殺任務を行うことへの懸念

・ドイツは条約上、国内で米軍が暗殺任務を行うのを許容しないだろう

ヘルファイアミサイルが屋内のビンラディンを殺傷することができるかどうか

 

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 映像技師ワーナーは、ドイツのラムシュタイン空軍基地を衛星中継局として、本土のCIA本部からプレデターを操縦する仕組みを開発することになった。

 2001年9月の時点で、NSC会合ではヘルファイアによる暗殺は保留のままだった。しかし、9.11によって状況は一変した。

 

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 アルカイダによる同時多発テロを受けて、大統領は暗殺禁止の行政命令を修正し、CIAに武装プレデターを利用したアルカイダ幹部の暗殺を命じた。

 

 ――ブッシュは答えた。「昔の西部劇のポスターにこう書いてあったのを思い出した。『お尋ね者:生死を問わず』」。

 

 CIAの敷地にトレーラーを設置し、そこからアフガン上空のプレデターを操縦し、アルカイダタリバンを暗殺することになった。

 CIAが発射権限を握っていたため、中央軍(トミー・フランクス陸軍大将)傘下の統合航空軍司令官ウォルド空軍中将は、状況を掌握できずに激怒した。

 一方、武装プレデターによる攻撃権限を持つCIAは、民間人への被害――コラテラル・ダメージを極度に警戒していた。民間人への誤爆や被害は、戦争の正当性や支持を大きく損なうからである。

 

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 武装プレデターによるアルカイダ幹部暗殺は、大統領を感動させた。ブッシュは、武装プレデターをさらに増やすよう指示した。

 プレデターはアフガン上空から、敵の車列、建物、集会等を爆撃した。

 

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 アルカイダのナンバー3であり、ビンラディンの娘婿であるモハメド・アテフの暗殺については、アルジャジーラ支局を誤爆したのではという疑念がつきまとった。

 ブッシュ大統領無人暗殺機を賞賛した。

 

 ――大統領の推薦の効果は絶大だった。……これまでプレデターだけでなく他のどんな無人機に対しても無関心だった軍産複合体や伝統的軍需産業に強力な影響を及ぼした。……古いやり方はまもなく消滅の道をたどることとなった。航空機の新時代が始まったのである。

 

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 武装プレデターに代表される無人機の革新性とは……

・ミサイル発射能力

・映像送信能力

・遠隔操作性

・航続時間の長さ

 

 無人機の登場は、またCIAを諜報活動から準軍事作戦中心の組織に変えた。

 

無人暗殺機 ドローンの誕生

無人暗殺機 ドローンの誕生