うちゅうてきなとりで

the cosmological fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

『パーフェクト・スパイ』ジョン・ル・カレ

 『寒い国から帰ってきたスパイ』、『鏡の国の戦争』につづいて読む。彼の作品に出てくるスパイは皆自己のコントロールに長けたエリートである。

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 詐欺師の息子として生まれたマグナス・ピムは嘘に囲まれて育ち、自分も父の片棒を担がされてきた。結果、嘘と表面で塗り固められたエリートとなり、英国のスパイとして働くことになる。彼はスイスで知り合った友人アクセルのためにチェコスロヴァキアの二重スパイとなり、情報を流しつづける。父が死ぬと、彼は使命を終えたと考え姿を消し、息子にたいして長い自伝を書く。

 マグナスには父の期待にこたえるということ以外に一切の信念がなかった。特性をいかして上司のブラザーフッドのもとで働き、チェコスロヴァキア側の友人アクセルに情報を流した。

 嘘といつわりでできた完璧なスパイの人生は、コントローラーのいないスパイ活動に等しかった。作中でしばしば話題にのぼるように、彼のような人間の本性は悪、すなわち泥棒か詐欺師である。泥棒や詐欺師や人殺しが国のために仕事をすれば立派な戦士となる。考えてみれば悪党かどうかを決めるのは法律つまり国家なのだから当然のことだ。

 彼は父への愛情をのぞいてすべて空虚な表面だけで生きてきた。自分を通して外の世界を覗き込むとはうまくいったものである。

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 メモ:「人はだれでもしゃべる」、表面上のみてくれが一番大事、自分を通して外を覗き込む

 

パーフェクト・スパイ〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)

パーフェクト・スパイ〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)