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the cosmological fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

『東洋的古代』宮崎市定

 古代とは古代帝国の成立した時代をさす。人間の共同体はまず氏族からはじまった。やがて氏族が集まって都市国家を形成し、都市国家が統合されて領土国家が成立し、やがて一地域を統べる古代帝国に至った。西洋でいえば部族からアテネ・スパルタ、そしてローマ・カルタゴ、そしてローマ帝国へという変化にあてはまる。

 都市国家の特徴は、著者によれば、青銅器である。青銅器時代都市国家時代は多くの地域において並行している。また、ギリシアにおいても、中国においても、都市国家間の戦争には戦車を用いる。

 ここで日本の特殊性が浮かび上がる。青銅器と鉄器がほぼ同時に伝来した日本には、都市国家文明が成立しなかった。よって戦車を含む都市国家文明が欠落している。日本という辺境において欠落していることを認識するのが重要であると著者は考える。普遍的なものを定義した上で、個別の国の分析に入らなければならない。日本だけで日本を分析してもそれは精密ではない、と比較の重要性を説く。

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 歴史はあくまで事実に基づく学問であり、現実的感覚が必要とされる。著者は歴史哲学や唯物史観の潮流を選ばずに、地道に西洋史と東洋史の比較をおこなった。

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 古代の物価考証や制度にかんする専門項が多く、面白みにはかけた。

 

東洋的古代 (中公文庫)

東洋的古代 (中公文庫)