うちゅうてきなとりで

the cosmological fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

人体の城(2011)

 粘土でできた札を受けとるとわたしたちは
 出発した
 馬の脚だけを木箱の底に縫いつけた
 血をしたたらせて、足跡を記録する機械
 馬車を想像させる車を、行進の
 先頭にたてる、つづいて時計を管理する
 小さな子供たち、かれらの耳はぜんまいの
 ゆるまるたびに遠ざかっていく、老人の
 声を通して、その場合だけ、ものを
 言うことができた
 車列の幅が広がり、泥をはねて茶色くなった
 軍事的な機械が地平をすくいとる
 ように前進する、エンジンと、
 車輪が土くれをおしつぶす
 音がけたたましいので、
 通信のためにおもいでをちぎっては
 丸めてのみこむ必要がある
 道が太陽にあわせて沈んだ
 わたしたちの網膜をごまかすために
 たがやされた地面が、あまり
 人の住まない花畑に落ちくぼんでいった、そこで
 溶岩と毒ガスがかきまぜられて
 縦隊の前のほうから
 規則正しくひっくり返る
 紫色の肉、灰色の、木炭じみた眼球、ぶくぶくに
 ふくらんで、圧力にたえかねて
 中身の飛びだした神経と血のたば、
 すれちがう列、かれらは当番を
 終えて本来の領地に帰るところらしい
 城を維持、保守するために交代で
 城になるというきまりだった、わたしたちが
 積み上げられると城がある