月の探照灯がうごきだすと、
わたしたち搭乗員は、
光の柱が、黒い海面に
突き刺さり、沖から沖へ
ということはつまり、
もう見えなくなる埠頭に向けて
量子のたばが指向していくのを確認する。
かれらは乗った。
そして、かれらの
金属のドンガラに溶接された
胴体が沈んでいった。
黒い布、黒い海に
埋設され、
数年に1回、やさしいパルス信号が
かれらの殻が
まだ残っているな、と、
定点的な状況だけを点検する。
様々な影、かれらの子供、かれらの子供の
子供、かれらの子孫の、存在しない
系図がくずれた網となり、
海底に沈殿している。