うちゅうてきなとりで

The Cosmological Fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

ニーバーを読み始めた

 ◆シリア関連本

 シリア内戦に関する本を2つ読んだ。どちらも現地報告であり、アサド時代の秘密警察支配や、デモ鎮圧と過激化、国外勢力の流入などを記録している。

 確認したところWendy Pearlmanの本は日本語訳があるようだが恐ろしく高額である。

 

We Crossed a Bridge and It Trembled: Voices from Syria (English Edition)

We Crossed a Bridge and It Trembled: Voices from Syria (English Edition)

 
The Morning They Came for Us: Dispatches from Syria

The Morning They Came for Us: Dispatches from Syria

 

 

 シリアを含めた近代アラブ地域の歴史を知るためにいくつか本を読む予定である。

  Eugene Roganは中東史の学者でアメリAmazonではよく売れている。

The Fall of the Ottomans: The Great War in the Middle East, 1914-1920

The Fall of the Ottomans: The Great War in the Middle East, 1914-1920

 
The Arabs: A History ? Third Edition (English Edition)

The Arabs: A History ? Third Edition (English Edition)

 

 

 デイヴィッド・フロムキンのオスマン帝国没落に関する本も似た題材なので、どちらを注文しようか迷っている。

A Peace to End All Peace: The Fall of the Ottoman Empire and the Creation of the Modern Middle East

A Peace to End All Peace: The Fall of the Ottoman Empire and the Creation of the Modern Middle East

 

 

 

 ◆バーナード・ルイス

 バーナード・ルイス(Bernard Lewis)はイギリス生まれの中東史学者で、ブッシュのイラク侵攻前に非常に大きな影響力を持ったという。

 英語版ウィキペディアではかなり手厳しく批判されている。

 ルイスはチェイニー副大統領らブッシュ政権指導者と複数回会談し、イラク侵攻の必要性を訴えた。

 

 「やるべきことはアラブ人の眉間を棒で殴りつけることだ。かれらは力に敬意を払う」

 

 『戦争の記憶』で日本とドイツの戦争責任に対する向き合い方を論じたイアン・ブルマは、中東研究家バーナード・ルイスの態度について次のように論じている。

 以下は大意である。

 

 ――西洋人のオリエント研究者にとってその文明と恋に落ちることはよくある現象である。こうした感情は、理想と現実のギャップに直面し、大抵、悲痛な不寛容にいたる。ルイスの例でいえばこの怒りは西洋学者の怒りである。かれが愛した(イスラム)文明は病んでいた。であれば、偉大な西洋民主主義が、迷走するムスリムたちを治療してくれること以上に、年季の入った東洋学者にとって心温まることがあるだろうか? 同時にこれはただの慈善行為でもない。宗教同士の最終決戦が不可欠であるなら、我々はその戦いに勝つべきなのだ。

 

 こうした学者の本も読むことが必要だと考える。なぜならルイスのような考えも、欧米のイスラム世界に対する主要な見方の1つだからである。

 

 

 

What Went Wrong?: The Clash between Islam and Modernity in the Middle East by Bernard Lewis(2002-11-07)

What Went Wrong?: The Clash between Islam and Modernity in the Middle East by Bernard Lewis(2002-11-07)

 
The Middle East: 2000 Years Of History From The Rise Of Christianity to the Present Day

The Middle East: 2000 Years Of History From The Rise Of Christianity to the Present Day

 

 

 イアン・ブルマの本は感想メモがあるのでいずれ投稿したい。戦争責任をうやむやにする、または回避しようとする動きはどの社会でも見られる。

 

戦争の記憶―日本人とドイツ人

戦争の記憶―日本人とドイツ人

 

 

 

 ◆ラインホルド・ニーバー

 アメリカの神学者・牧師ラインホルド・ニーバーは、アンドリュー・ベイスヴィッチの著作等で名前をよく見たので今回代表作を読み始めた。

 ニーバーは自動車産業の拡大するデトロイトで牧師活動を始め、後に時事問題や政治問題を論じることでアメリカ政治・外交に大きな影響を与えた。

 またナチ政権下のドイツで抵抗していたディートリッヒ・ボンヘッファーと連絡を取り続けた。

 

 ニーバーの主張は単純ではなく、第1次大戦、第2次大戦、冷戦期の「封じ込め政策」を支援した一方、アメリカの理想主義を批判し、ベトナム戦争に反対し、キング牧師にも影響を与えている。

 本人の著作を直接読んで調べることが必要である。