今年読んでおもしろかった本と映画について。
◆本
『Diplomacy』Kissinger
国際政治における理想主義と現実主義の変遷をたどる。著者はニクソン時代の大統領補佐官であり、特に本人の関わる時代(ベトナム戦争等)については、視点の1つであることに注意する必要がある。
- 作者: Henry Kissinger
- 出版社/メーカー: Simon & Schuster
- 発売日: 1995/04/04
- メディア: ペーパーバック
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『Hitler』Joachim Fest
ヒトラーの評伝。本当に落第生であったことが書かれている。また、趣味や嗜好は若干時代遅れだった。
・NSDAPが台頭する前から、ドイツ社会は不安定な状況にあった。熱狂、妥協、ヒトラーに対する過小評価が、ナチ党政権を招いた。
・敗戦するまで、ヒトラーは高い支持率を保持していた。
・ヒトラーは、19世紀の文化の成果物だった。
Hitler (Penguin Classic Biography)
- 作者: Joachim C. Fest,Richard Wilson,Clara Wilson
- 出版社/メーカー: Penguin Books Ltd
- 発売日: 2002/02/07
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『The Great Game』Peter Hopkirk
中央アジアをめぐるロシアとイギリスの抗争について。
下級将校(Subltern,サバルタン)が、英露双方において大きな役割を果たした。
本書を読むと、中央アジアの辺境……ラダック地方、フンザ、ナーガール、チトラル、アフガニスタン等に行ってみたくなる。
『The Killing of Osama Bin Laden』、『アメリカの秘密戦争』Seymour Hersh
アメリカ人ジャーナリストは、アフガニスタン戦争及びイラク戦争に関して、政府の嘘を告発する。
『秘密戦争』は、アブグレイブ刑務所捕虜虐待に係る報告を含む。
『The killing of~』では、「ビンラディン暗殺!」の八百長疑惑(パキスタン情報機関から、ビンラディン軟禁場所について極秘に知らされていた)、シリア反政府勢力の実態、オバマと軍との対立等に言及する。
ハーシュ、チョムスキー等の左派が、オバマを「嘘つき」、「ブッシュの継承者」と非難していたのは、かれの言行不一致によるところが大きい。
The Killing of Osama Bin Laden
- 作者: Seymour M Hersh
- 出版社/メーカー: Verso
- 発売日: 2016/04/01
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- 作者: セイモアハーシュ,Seymour M. Hersh,伏見威蕃
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞社
- 発売日: 2004/11
- メディア: 単行本
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『職業としての政治』マックス・ヴェーバー
第1次世界大戦直後の混乱期に書かれた本。今読んでも新鮮な箇所が多い。
◆ヴェーバーの挙げる、ダメな政治家の態度
1 目的が正しければどのような手段をとっても構わないし、失敗しても、それは世界が間違っているからである(過激派と、革命家)。
2 政治は権力であり、暴力をともなうのだから、賄賂・汚職や暴力、不正が蔓延しているのは当然である。これをいちいちあげつらうのは、未熟な証拠である(既得権益の正当化)。
3 倫理的に正しい手段をとれば、それは正しい行為なのだから結果がどうなっても問題ではない。政治家個人としての倫理は達成される(政治的に無力な聖人君子)。
- 作者: マックスヴェーバー,Max Weber,脇圭平
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1980/03/17
- メディア: 文庫
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『北條民雄 小説随筆書簡集』
若書きも多いが、「いのちの初夜」を含む、癩病院の連作は非常に面白い。
東村山市の国立ハンセン病資料館も、歴史を知る上で参考になった。
『その夏の今は・夢の中での日常』島尾敏雄
魚雷艇指揮官としての経験と、幻視された風景がひとつになっている。
『神の歴史』カレン・アームストロング
人間が「神」の観念を発明し、時代に適合させてきた歴史。
近年の根本主義、過激派の台頭を、神の意義からは逸脱しているとして批判する。
神の歴史―ユダヤ・キリスト・イスラーム教全史 (ポテンティア叢書)
- 作者: カレンアームストロング,Karen Armstrong,高尾利数
- 出版社/メーカー: 柏書房
- 発売日: 1995/05
- メディア: 単行本
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『The Ghost of Freedom』
コーカサス地方の歴史。トルコ、ペルシア、ロシアの3つの大国に挟まれた地域で、かれらがいかに生存してきたかに注目する。
コーカサス人は一枚岩ではない。現在の民族分類、国家領域は、歴史の過程で作り出されたものである。
この地域の宗教は混交しており、キリスト教、イスラーム、土着のアニミズムが、かつては共存していた。
The Ghost of Freedom: A History of the Caucasus
- 作者: Charles King
- 出版社/メーカー: Oxford University Press, USA
- 発売日: 2009/11/11
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◆映画
「レヴェナント」
今年、一番おもしろかったのはこの映画である。
劇中のインディアン(ネイティブアメリカン)を観て、歴史に興味を持った。よって、2017年以降に実際に観光調査しにいく予定である。
レヴェナント:蘇えりし者 2枚組ブルーレイ&DVD(初回生産限定) [Blu-ray]
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- 発売日: 2016/08/24
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「マンダレイ」
「サウルの息子」
「ミッシング」
「天国の日々」
「デルス・ウザーラ」
「とうもろこしの島」「みかんの丘」