この本は銀河の世界について説明する。「はじめに」によれば、銀河の世界は宇宙の一部であり、現在の望遠鏡によって探求できる場所であり、そこでは銀河がうすく分布している。
――銀河の領域への探求は、巨大な望遠鏡によって達成されたものである。それは、銀河がわたしたちの天の川銀河と同程度の大きさをもつ独立な恒星の系である、と認識したところから始まった。一度、銀河の正体が明らかになると、距離を評価する方法が次第に進歩し、新しい研究分野が始まった。
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一様性について
この本は、科学研究について、宇宙踏査、銀河の分布と性質、銀河の分布、銀河までの距離、速度―距離関係、局部銀河群、一般の銀河、等の項目にわかれる。
科学の研究……ハッブルは科学が進歩するものだと考える。
「科学の方法はまず法則を発見し、その法則を理論で説明し、そして最終的には、私たちが住むこの世界の物理的な構造と作用を理解することを目標としている」。
――傑出した天才が、成功する新しい理論を発明する。一流の研究者が、それに続き、おなじモデルにおけるほかの理論を導き、発展させる。比較的有能でない人は、予言の検証に苦労する。
科学研究では理論と観測が併用される。
銀河の名前……18c後半、メシエが103個の星団、銀河リストをつくった。これは、「M33」等と呼ばれる。ドライヤーの新一般カタログnew general catalogueはNGC、その補遺index catalogueはICと番号で呼ばれる。NGCは7840個、ICは5836個ある。このなかにはメシエ天体も含まれる。
宇宙の踏査……巨大望遠鏡によって観測領域が拡大した。
「もっとも大きな望遠鏡で検出できるもっとも暗い銀河を見たとき、知られている宇宙の端まで到達したことになる」
「これが私たちの観測できる宇宙の地平線である」
宇宙の踏査は、惑星、星、銀河と拡大し、宇宙の地平線は後退していった。
宇宙には、「宇宙の大きな領域をとればみなおんなじである」という一様性の原理が貫かれている。宇宙が一様性の原理に基づく、と考えたのは、トマス・ライトや、「島宇宙論」を提唱したカントがはじまりである。島宇宙理論は、19cになり観測技術が発達すると科学者にもとりあげられるようになった。19cの銀河研究はウィリアム・ハーシェル、ハッギンスらによってすすめられた。
銀河の距離は、セファイド変光星をきっかけに導出されるようになった。銀河の距離、指標の確立によって、個々の銀河、つづいて、領域全体の性質が研究された。銀河は1つの族を構成しており、また、銀河の分布も一様であることが判明した。
赤方偏移……銀河のスペクトルに見られる現象であり、銀河が私たちから距離に比例した速度で遠ざかっていることがわかる。
銀河の分類と性質……銀河の分類は写真でおこなわれる。銀河はまず、規則銀河と不規則銀河にわかれる。不規則銀河は2~3パーセントであり、回転対称性や明るい核をもたない。規則銀河は「楕円銀河」と「渦巻き銀河」に分けられる。渦巻きには、正常のものと、棒状のものがある。
――掃天観測の結果は次のように短くまとめられる。小さなスケールの分布は不規則である。しかし、大きなスケールでは、分布は近似的に一様である。分布の勾配は発見されていない。どこでも、どの方向でも観測領域はほぼ同じである。
距離……銀河研究の大きな進歩は、1912年の銀河の視線速度の測定、1924年のセファイド変光星の発見等による。
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宇宙の特質は一様性である。銀河はすべてよく似ている、また銀河は「観測可能な領域全体で近似的に一様に分布している」。
さいごの章で、アインシュタイン以降の宇宙モデルについて言及される。
「現在の宇宙論の理論は、一様に膨張する一般相対性理論の宇宙、もっと簡単に言えば、膨張宇宙モデルを生み出した」。
世界地図と世界像……宇宙構造理論に基づいて、ある与えられた時刻における銀河の実際の分布をつくることができる、これが「世界地図world map」である。一方、観測者が写真上で観る、見かけの分布は、「世界像world picture」と呼ばれる。
赤方偏移が速度変異なら、光が観測者に届くあいだに銀河が後退しているので、地図と像はちがったものになる。
望遠鏡の及ぶ境界、「そこでわたしたちは影を測定し、ほとんど実体がない道しるべと測定の誤差の幽霊のなかで放浪しているのだ」。
――踏査はつづくだろう。観測のための手段が枯渇する前に、夢想的な推測の領域を通りすぎなければならない。
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測定の技術的な部分はわからないので読み飛ばした。