1巻は、細胞生物学について説明する。
細胞の構造と機能、原核生物(古細菌と真性細菌)の特徴、真核細胞(動物、植物、真菌類、原生生物の細胞)の特徴、その内部の、多様な小器官について、また、生体膜の構造と機能、生命活動に関連する生化学反応、その際のエネルギー変換、ATP(アデノシン三リン酸)が果たす、「エネルギー通貨」としての役割、酵素の役割、細胞の代謝、光合成のしくみ、等について、イラストつきで解説されている。
細かい物質名等はすべて流し読みした。
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細胞
細胞は「生きたコンパートメント(区画、分画)」であり、生物学では次のように定義される。
細胞は生物の基本単位である。
すべての生命体は細胞から構成される。
すべての細胞はすでに存在している細胞から生まれる。
よって、生命は連続的であり、生命の起源はさいしょの細胞の起源である。
容積に対する表面積の比を小さくするため、細胞は小型である。
――細胞膜によって細胞は内部環境を一定に保つことができる。自己維持的な一定の内部環境(ホメオスタシス)が生命に特徴的な重要ポイントである。
原核細胞は、膜で囲まれた内部コンパートメントをもたない。一方、真核生物の細胞には、核があり、このなかにDNAが含まれている。細胞膜は、細胞を包んで、内外の物質の流通を調節し、環境から隔てている。
細胞内の小器官……核はDNAの大半をふくむ。ミトコンドリアはエネルギーをATPに変換する「発電所兼工業団地」である。小胞体とゴルジ装置はタンパク質を梱包する。リソソームと液胞は消化システム、葉緑体では光合成をおこなう。
細胞内共生説……原核生物が、小さな原核生物を飲みこむことで、現在のように複数の区画をもった真核生物へと進化したというもの。
生体膜
生体膜は脂質、タンパク質、糖質に依存する。膜は「細胞をほかの細胞や環境中の分子と相互作用させることにより重要な生理的役割を果たすダイナミックな構造」である。
膜の主要機能は、細胞同士の結合と、細胞への、物質の出入り調節である。この調節において、拡散とよばれる法則が適用される。
拡散とは……平衡状態へむかうランダムな運動であり、小さいものほど速く拡散し、高温ほど速く、荷電状態が影響し、濃度の勾配が大きいほど、拡散速度が大きくなる。
化学エネルギーを用いた物質の移動を能動輸送という。
エネルギー、酵素、代謝
エネルギー変換は、熱力学の法則にしたがう。すなわち、
1 エネルギーの総量は不変
2 乱雑さは増大する(エントロピー産生)
細胞は、アデノシン三リン酸、ATPを自由エネルギーとして活用する。これは「エネルギー通貨」とよばれる。
ATPの合成・消費をスピードアップさせる触媒が酵素である。代謝経路を数学的アルゴリズムを用いてモデル化することができ、これはシステム生物学として研究されている。
細胞がどのようにATPを生産するかについて、いくつかの方法がある。
代謝経路……細胞内の化学的変換は一連の個別反応がつらなった代謝経路のかたちでおこなわれる。その反応は酵素で触媒される。経路はすべての生物で同一であり、区画化された小器官内で発生する。隊舎は、重要酵素の活性化、阻害によって調節される。
ヒトは光合成によって固定される炭素の3分の1を消費している。
――生態系のサステナビリティをしらべる重要な最初の1歩は、光合成を理解することである。
光合成とは……日光エネルギーを捕捉し、CO2とH2Oを糖質と酸素ガスに変換する代謝経路である。光エネルギーである光子が分子と出会うことで、分子は基底状態から励起状態に変換される。色素がエネルギーを吸収し光合成がおこなわれる。
光合成の効率をバイオテクノロジー等の技術によって向上させることが、資源の有効利用と食糧生産の改善につながると著者は考えている。
カラー図解 アメリカ版 大学生物学の教科書 第1巻 細胞生物学 (ブルーバックス)
- 作者: クレイグ・H・ヘラー,ゴードン・H・オーリアンズ,デイヴィッド・M・ヒリス,デイヴィッド・サダヴァ,浅井将,石崎泰樹,丸山敬
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2010/02/19
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