アナーキズムは国家と社会を二元化し、国家を否定する。個人の自由を神聖なものとし、これを基盤にした社会の構築をはかる。社会主義は国家と社会の和解を可能だとする一方、アナーキズムは国家を否定する。著者によればアナーキズムは自由主義と社会主義の中間にあるという。
アナーキズムにはフランスの合理主義とドイツ観念論、そしてキリスト教の影響がみられる。アナーキズムの言説にはキリスト教的な要素が多くふくまれている。プルードンは正義というかたちでの絶対者を称賛する。
アナーキズムは社会契約説を虚構として否定する。個人の自発的な契約に基づいた、下層から組み立てられた社会を空想する。個人の自由、精神的自由は絶対である。
テロリズムは、無知蒙昧な群衆を目覚めさせるためにおこなわれる。アナキストは19世紀後半、国家の要人を多数殺害した。
プルードン、バクーニンら代表的な思想家、またアナーキズムとテロリズム運動のむすびつき、『革命家の教理問答』をかき、テロを煽動したネチャーエフについて、またアナーキズムに由来する実際の政治運動について説明されている。
ネチャーエフ以外さしたる興味をひかれなかった。