うちゅうてきなとりで

The Cosmological Fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

次世代型竹槍

 無職戦闘員は夢のなかでむかしの思い出を――これも夢または妄想だが――を手入力した。

 

予科練平和記念館と棒振り運動

 茨城県阿見町予科練平和記念館はすばらしい施設である。

 予科練における銃剣術の写真に関して、「当時の銃剣術は、現在の銃剣道よりもより実戦的な訓練が行われていた」というようなキャプションがあった。

 

 ――銃剣道で「直突」しかやっていないため、捕虜との競技会では良く負けた。突撃を渋り、白兵戦を恐れる傾向が強い。 (『日本軍と日本兵』一ノ瀬俊也)

 

 日本軍時代よりも、さらに実戦から遠ざかった棒振り運動を、現在進行形で、税金を消費して無批判にやらせている組織とは何なのか。

 特に意味はないが「おれたちはやった。苦しい練習を乗り越えてやりとげた」という充実感と自己満足を得ることはできる。しかし、ただ公務員が気持ちよくなるために、税金を払っているわけではない。

 棒振り伝統維持をごり押しするOBの力は強かった。

 あの銃剣商人は、全国の棒振り愛好家や薄給の兵隊にグッズを売りつけて、いったいいくら稼いでいるのだろうか。

 学習指導要領への銃剣道追加が最近ニュースになったが、わたしはまず本家の公務員において銃剣道を廃止したほうがいいと考える。

 

 

◆ポリウレタン兵隊

 当人たちが好戦的でありながら、実力のない軍隊は無数にある。

 人びとは、自分たちが養っている軍隊の能力を知らなくても、好戦的になれる。

・やっているふりだけで役に立たない税金のムダ遣い、やったというアリバイ作りが大事。

・政治家のオモチャ(「政治利用」、政治家の支持率向上ツール)とは的確な言葉である。

・米軍の下請け、在庫処理担当

・「行政文書の件名は、なるべくわかりにくくしよう」、「名前を工夫して情報公開請求されないようにすることが重要」

 

 

◆推薦図書

 推薦図書リストを見て思わず笑ってしまった。

・百田直樹

桜林美佐『日本に〇〇隊がいてよかった』

 この著者は櫻井よ〇こ設立の研究所に勤めている。櫻井よ〇こに関しては、海の公務員が、非常にお気に入りで、内部で講演会も開催されている。

 〇〇隊の精神傾向の一端を示すものである。

 現在、選挙活動に絡む横領容疑で追及されている元将軍殿の支持者が、〇〇軍には多数存在する。 

 偉大なる〇〇軍の将校としての自覚を涵養するには、まずは自分たちを褒めてくれる人たちの本を読んで、気分を盛り上げることが大切らしい。

 

 

◆ポリウレタン兵隊その2

 兵隊は、就職した際に宣誓をおこなう。「ことにのぞんでは危険をかえりみず」という文言は、命に係わる作業であっても従事するということを意味する。

 現在、すべての兵隊は自分で試験に応募して就職する。

 ということは、かれらは自ら危険を認識しているのである。

 某ブログでは、このことから、「かれらは生存権を放棄している、よって、かれらに死のリスクがあるかどうかを議論することは無意味、本質から外れている」と論を進めていた。

 つまり、かれらは死んでもいいという前提で働いているので、どれだけ死人を出す危険性があろうとそれは考慮する必要がない、ということである。

 作者は自身も元公務員らしいが、上のような考えをする人物は、組織の中にも外にもたくさんいる。

 

 兵隊の従事する作業が、政治家の選挙対策だろうと、宗主国への御機嫌伺だろうと、関係はない。

 自分で志願して命をかけている以上、死ねといわれたら死ねばいい。嫌ならやめろ、という意見は広く見られる。

 かれらにとっては、兵隊は、命の価値が1円未満の、麻薬マフィアの構成員のような存在でしかない。

 建前上、兵隊を維持しているのはその資金提供者、決定者である国民である。

 現政治体制においては、政権運営者を選んでいるのはわたしたち自身であることを認める必要がある。

 わたしたちによって兵隊は動いているのだから、鉄砲玉のように死ねといわれれば、兵隊は従うしかない。国民の多くがそう望めば、そのような未来が実現するだろう。

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「アメリカン・ギャングスター」

 制作:2007年

 監督:リドリー・スコット


 1960年代末から70年代にかけてニューヨークで活動した、黒人麻薬ディーラーについての映画。

 マフィアの立身出世と、汚職警察のなかで公正を貫く刑事の話とが交差する。

 フランク・ルーカスはベトナムから飛んでくる軍用機を利用し麻薬を密輸し、販売した。かれは親類を登用し、兵隊の棺に麻薬を隠し運ばせた。

 ラッセル・クロウは正義の刑事という役だが、暑苦しい理想を叫ぶわけではない。賄賂を受け取らない、拾った金を横領しないという最低限のモラルを遵守しているだけである。素朴な人間性が魅力である。

 マフィアのフランク・ルーカスは悪党だが、刑事の信念を理解し、汚職刑事に関する情報をすべて提供する。 

 

『生物兵器』ケン・アリベック

 ソ連による生物兵器開発の概要と、崩壊後、一連の技術が北朝鮮、イラン、過激派等に流出していった疑惑についての本。

 著者は元ソ連生物兵器製造組織最高責任者であり、アメリカに亡命後この本を出版した。

 生物兵器の危険は間近にせまっている。病原体は安価に手に入り、容易に兵器化できるという。

 

 1

 ソ連生物兵器開発機構は、1972年、生物兵器禁止条約締結の年、秘密裏に創設された。

 著者は国家薬事局に勤務する研究員だったが、ロシア陸軍にも所属していた。かれらは民間の研究者として身分を偽り、世界中から細菌・ウイルスの株を受け取ることができた。

 生物兵器開発の起原は1920年代にまでさかのぼることができる。

 カザフ人である著者は、トムスク軍事医科大学を卒業すると、バイオプレパラートでの勤務にスカウトされる。

 陸軍将校による勧誘が、生物兵器開発であることはすぐにわかったが、功績を残したい、名を上げたいという科学者としての自尊心に従い了承した。

 軍は、倫理的な問題について、「アメリカは生物兵器を進めているに違いない、だからわれわれも開発する」という理屈だけを述べた。

 

 2

 KGBに警備された秘密施設で、著者ら研究者は細菌やウイルスの兵器化研究に取り組んだ。

 スヴェルドロフスク事故は、不注意から炭疽菌が市街地に流出し数十人の死者を出した事件である。政府によって隠ぺいされ、汚染肉の密売によるものだとされた。このため、事故の教訓はまったく生かされなかった。真実が明らかになったのはエリツィンが大統領に就いてからである。

 天然痘ウイルスやエボラウイルスマールブルクウイルスの改良が進められ、ワクチンの効かない種、複合的な症状を起こす種がつくられた。

 同僚のウスチノフは不注意事故でフィロ・ウイルスに感染し死亡した。屍体からはより抵抗力と毒性の増したウイルスが摘出され、「U株」として培養された。

 

 3

 秘密に包まれた兵器開発はその他の機関でも並行して進められていた。KGB第一総局の管轄する研究所では、暗殺に使われる生物兵器が研究された。

 遺伝子工学も発達し、DNA組み換えによるキメラウイルスの作成にも成功していた。

 ゴルバチョフの代になり、兵器開発は岐路に立たされる。

 アメリカの査察受け入れに伴い、著者らは必至で施設の隠ぺいを行う。その様子は、どこの役所でも見られる滑稽な光景である。

 問題のある設備は解体し、かぎをかけ、偽装をほどこす。査察団をアルコールとごちそうでもてなし、時間を稼ぎ、質問には嘘で答える。

 兵器開発を中止しようというトップの意向に著者も賛同したが、軍や高級官僚は路線を継続させようとしていた。

 ヤナーエフらによるクーデタ時の様子についても書かれている。皆、エリツィン・議会につくか、守旧派につくかで様子をうかがっていた。

 

 4

 アメリカの生物兵器研究施設を査察した結果、既に攻撃兵器開発が数十年前に停止していたことを発見した。

 

 ――結局われわれは、同胞にだまされたのだ。わたしはいまでは、ほとんどのソ連の上級職員はアメリカが1969年以後、これといった生物兵器研究をしていないことを知っていたのだと思っている。……それでも、われわれに危機感を植え付けるには作り話を吹き込む必要があった。ソ連生物兵器研究は、まず恐怖と不安感から生まれ、ながらくクレムリンの駆け引きにゆだねられてきた。

 

 ロシア崩壊後、差別される外国人になってしまった著者はカザフスタンに帰国する。ところが、ここでも引き続き兵器開発に携わるように脅迫されたため、アメリカに亡命した。

  ***

 著者の分析によれば、ロシアは現在でも生物兵器開発を継続している。

 しかし、国内の困窮により大量の科学者が流出し、また培養された細菌やウイルスが横流しされている。イラク、イラン等に対しては培養設備の売却が行われ、小国やテロ組織であっても容易に兵器化が可能である。

 生物兵器防衛に真剣に取り組む必要があると著者は主張する。

 ロシアから亡命し、秘密の生物兵器開発帝国を暴露したことについては、ロシアが国民に対しおこなっている欺瞞に比べれば軽いものであるという。

 

 ――ロシア国家が禁止兵器を造る人間を英雄視するかぎり、国民を殺し内戦をしかける外国の独裁者に資金等の援助をするかぎり、ロシアの医者や教師に殺人の訓練をほどこすかぎり、そしてこれらのことに抗議の声をあげ、不道徳なことを不道徳と呼び、倒錯した社会を少しでも変革しようとする人間を犯罪者とみなすかぎり――つまりはこれまでのような状態が続くかぎり、ロシアによりよい未来は訪れない。……ロシアで真に求められているのは道徳改革である。道徳が変わらないかぎり、ロシアは変わらない。

 

  ***

 大規模な兵器開発プロジェクトが、全て秘密で行われていたという点が強烈である。

 国家は、安全保障のために、あるいは政治的目的のために、国民に対しても、国外に対しても平気でうそをつくということを認識しなければならない。

 本書では、ソ連における軍、KGB、行政組織の細部だけでなく、一般市民の生活、カザフ人ら少数民族への差別や扱い等についても、その実態を知ることができる。

 

  ***

 用語

 バイオプレパラート:ソ連国家薬事局。保健省の傘下にあるが、実際は軍、KGB共産党の統制を受けた生物兵器開発組織の統制を受ける。

 局長は姑息な官僚として描かれるカリーニンである。

 第15委員会:国防省隷下の生物兵器開発部門。 

生物兵器―なぜ造ってしまったのか? (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)

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たとひわれ死のかげの谷を農王系 12 保安局のアカデミー

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