うちゅうてきなとりで

the cosmological fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

『セヴァストーポリ』トルストイ

 クリミア戦争の激戦地セヴァストーポリの実相を、二人称で紹介するところからはじまる。戦争の実態は華々しい行群ではなく荒れた町並みや死体、担架、野戦病院、四肢を切断された傷病兵である。こうした不快な光景にもかかわらず、ロシア兵たちは不屈の精神を保っている。彼らのうちにあるのは祖国への愛である。

 当世、虚栄心にかられるもののあまりに多いことを彼は嘆いている。虚栄心から家や財産を捨ててセヴァストポーリ防御戦にかけつけたある将校は、要塞にたどりつくまえにすでに後悔しはじめる。たとえ戦闘中の軍隊であっても組織の不備や欠陥はつきものである。駅馬が足りない、旅費が自弁、連隊長が横領する、こうしたことを、例の将校はかえってありがたいとおもうようになった。

 粛々と防衛戦に参加するものもいるが(兄弟の兄)、彼は最後の白兵戦で死亡する。

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 比較的きれいな状態を保った海辺や、荒廃した町並み、瓦礫、担架、死体を満載した馬車、砲兵たちのたたかいなど、具体的な描写が多い。

 

セワ゛ストーポリ (岩波文庫)

セワ゛ストーポリ (岩波文庫)