うちゅうてきなとりで

the cosmological fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

『機械発達史』中山秀太郎

 技術の発展とともに人類の生活は改善されてきたが、弊害もまたおこった。技術の歴史を振り返ることによって、人類と技術との関係、文明とはなにかを考え直すべきである。

 

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 古代、てこ、滑車、斜面、ねじ、輪軸が発明されたが、これを単一機械といい、いまでも機械技術の基礎を占めている。機械の発明・発達は、人間の手をつかわずに自動で作業を進めさせるという方向に向かう。水車がつくられ、また13世紀ころから開発された機械時計は精密機械の先駆であり、その後の発明を担う者の多くは時計職人だった。

 この時代の天才としてあげられるのがダ・ヴィンチである。また印刷術も普及するようになった。

 紡績機械の進化は18世紀からはじまる。ジェニー機、アークライトの水力紡績機、この二つの折衷型であるクロンプトンのミュール機が有名である。フランスでは力織機が発明され、複雑な紋織物を機械によってつくる努力がなされた。しかし、当時は失業をおそれる職人による攻撃などもあり、発明家が報われないことも多々あった。

 鉱山はある程度の深度まで掘り下げると、地下水が溜まって進めなくなってしまう。この地下水を排出するために考えられたのが蒸気を利用した排水機械である。改良を加えられたニューコメンの大気圧機械は広く普及した。大気圧機械をもとに蒸気機関を発明したのがワットである。

 Mother Machine, 機械の母、機械をつくる機械である工作機械も発展した。木製から金属製にかわり、また熟練工でなくとも精密な部品をつくれるような工作機械がつくられた。ウィルキンソンが発展させ、モーズリーによってイギリス中に普及した。ウィットワースはねじの規格統一をおこなった。規格を決めるということは大量生産の足がかりとなる。

 従来の鉄にかわり、鋼が生産される。タイヤは鉄製からゴム製に、それにあわせて道路も改良されていく。水力タービン、蒸気タービンと改良が加えられ、さらに蒸気機関のような大きなスペースを必要としない内燃機関が発明される。内燃機関を搭載した自動車をドイツのダイムラーやベンツが発明したのは19世紀半ばである。さらにドイツ生まれのディーゼルが燃料を効率的に動力にかえるディーゼル・エンジンを発明する。ディーゼルは1913年、船上から投身自殺するが原因はわからない。

 18世紀から電気の研究が積み重ねられていた。1870年、ベルギーのグラムが発電機を制作し照明などに利用される。1866年には英仏海峡に海底電線がしかれ、電信がおこなわれる。19世紀末に電話も実用化される。エジソンの白熱灯は従来のアーク燈にとってかわった。ジーメンスエジソンなどにより電気機関車がつくられるが、コストの点から蒸気機関車を圧倒するには年月がかかった。

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 アメリカは国土が広く、人が不足していた。技術者の不足にも悩まされたが、このことが、技術発展を大量生産にむかわせることになる。

 18世紀末、アメリカの技術者も紡績機械の開発に取り組んだが、イギリスは国内の技術者が海外にわたるのを禁止していた。スレーターは図面なしで渡米し、米国で記憶を頼りに水力紡績機を完成させ、工場を任される。スレーターの努力によりアメリカ繊維工業は急速に発展する。

 多数の発明家、改良家の力によりミシンがつくられる。

 はじめはイギリスやヨーロッパに遅れをとっていたが、大量生産、部品の標準化による互換生産方式、労働管理などにおいて発展していき、統一規格の拳銃、猟銃などでイギリスを凌駕する。

 エバンズは、パンの製粉工場を見学して、小麦粉の不潔さ、また男たちの重労働にショックをうける。その後、労働を軽減するために自動製粉工場をつくる。これが世界初のオートメーション工場となり、大量生産の基礎となった。

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 ほか、フォード自動車、ロボット、NC工作機械、集積回路など先端技術の発展と、機械発達の副産物である公害、環境破壊について。

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 機械技術の発達を担ったのは、貴族や大学出のエリートだけではない。イギリスやアメリカで革新的な技術を生み出したのは、創造性に富む工員や奉公人、起業家である。

 

機械発達史

機械発達史