うちゅうてきなとりで

the cosmological fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

肉と油(2009)

肉が焼け、焦げついた 黒い杭から油がぽどぽどと
落ちて 火の文様のなかを落ちていった 中央から広がる
火と、音のない風が起きあがり 白い煙が 岩と岩、
珊瑚の化石の隙間から頭部を出したうつぼのように
肉を狙って 肉のまわりを徘徊している
杭と柵のあいだで飛ぶぞ 肉
泥と化学の結晶のかたちをなぞった杭で組み立てた柵
舌を渇かす 胃を脈打たせる香りのまぶされた 色のない煙
が、肉から煮えたぎり 茶色と黒の陰を彫りこんだ
赤味をあぶり、脂肪をとかして 肉を鷲づかみにする
草のあたまをした男 首のあるところに植え込みが
つくられて丁寧に 整形されている
油で生ぬるく輝く手のひら、 おい 積みあげる
香ばしい焼けた肉のかたまり 直方体に近い部位の
油気を含んだ矩形 積みあげて待機する
植え込みの男は 葉と葉の裏にちらつく枝と 芽の
すきまのなにもないところからじっと観察する
肉と油の状況を 煙が立つ 網目を写しとった
蒸気が腸のずるずるとひきずるようにのぼる それが
男たちの餌だ 肉の日

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