Bob Woodward『Obama's Wars』のなかで……
オバマ大統領は、就任直後、事態が改善していたイラクに対して、アフガンでの戦争が失敗しつつあることを認識し、米軍および多国籍軍(ISAF)の増派を決定した。
任期中、大統領は数回の増派、派兵延長を決断した。
国は、やっぱり駄目だった、として、すぐに軍隊を撤収することができない。
戦争に人を送り込むことには、常に大きなリスクがつきまとう。
オバマ大統領は、支持率、次の選挙、予算に配慮しなければならなかったが(大統領はいつも選挙ばかり気にしているとして、軍からは非難された)、その他に以下のようなコメントを残したという。
――……子供たちの一部は帰ってこないこと、または帰ってきたとしても重傷を負ってくるだろうことを覚悟して、それでも実行する価値があると考え、大統領は増派を決断した。
派兵するということは必ず死者・負傷者が出るということである。よって、派兵すればするほど、死人と傷痍軍人が増える。
好戦的な国であっても、この事実は認識しているようだ。
わたしは、国の指揮官たちが、人は死なないから心配無用と言いながら、一方で、人的犠牲を出してこそ信頼される、と主張する様子に疑問を感じた。
・合衆国に限らずどこの国でも、戦死者と戦費(税金)が増えれば、政治家にとって、選挙のリスクになる。
・正当性のない軍隊の使用がおこなわれても、疑問を持たない場合とは……使用することそのものに満足を見出していれば、理屈や理由はどうでもよくなる。
・いつまでも空襲や地上攻撃を受けず、闘技場の観客気分でいることは可能だろうか。
パレード軍隊を自嘲する人物の発言。
――いまじゃ、わたしたちはいつだってアラブ軍のことをからかってます。あれは見せ物やパレードがよく似合う、とね。……ヨルダン軍でもシリア軍でも見てごらんなさい。パレードは、そりゃあ上手ですから。みんな陸軍記念日を祝います。軍の勝利を祝います。そのうち疑問がわいてきます。何の勝利だろう。勝利なんて見たこともないんです。
Obama's Wars (English Edition)
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