日本語では数少ない飛行船関連書籍だという。
1 序論
現在航空機のほとんどは翼の揚力を利用する。一方、空気より軽い気体を使う気球や飛行船は軽航空機Lighter Than Air aircraft略してLTAと分類される。
飛行船は軍事利用できず衰退したが、その欠点は3つ、すなわち、浮遊ガスが可燃性の場合危険であること、天候により墜落すること、離着陸に人力が必要であることである。
こうした不利点が克服できれば飛行船は再び様々な分野で利用されるようになるだろう。
飛行船には軟式、硬式、半硬式、全金属式がある。
2 前史
イカロスの神話。
熱気球はフランスのモンゴルフィエ兄弟によって18世紀に発明された。その後、アンリ・ジファール、ルナールとクレブスらが飛行船の開発に取り組んだ。かぎは、推進装置をいかに取り付けるかだった。
ブラジル出身のサントス=デュモンは飛行船と飛行機の発達に貢献したが、飛行機が爆撃に利用されている現実に失望し自殺した。
シュヴァルツは当時開発されたアルミニウムを利用し硬式飛行船を制作した。
3 ツェッペリン飛行船の成功
ツェッペリン伯爵はプロイセン軍人であり、アメリカの南北戦争で偵察気球を見たのをきっかけに、飛行船開発に傾倒する。退役後、何度も飛行船の試験に失敗し、気狂いの伯爵とひやかされたが、やがて軍や国王に認められ英雄となった。
飛行船は第1次大戦において爆撃に用いられたが、耐久力のないことが致命的な欠点だった。
ハイトクライマーとは5000~7000mの高高度を飛行するための飛行船をいう。
4 飛行船黄金時代
ツェッペリン社の飛行船は、戦間期は輸送手段、旅客機として成功を収める。
しかし、ナチスが政権を取り、アメリカはヘリウムの禁輸措置をおこなった。このため水素で運用せざるを得なくなり、1937年、ヒンデンブルク号が着陸時に引火し爆発する。1940年までにすべての飛行船の運行は停止した。
ツェッペリン社は金属生産でその後も存続し、1993年にツェッペリン飛行船テクノロジーを創設、97年に新型飛行船ツェッペリンNTを建造し成功した。
なお、イタリアは世界でもっとも多く半硬式飛行船を製造しており、特にノビレ設計によるものは南極探検にも活用された。
5 イギリス・アメリカにおける硬式飛行船
両国でも軍を主導として硬式飛行船が開発された。その多くは、ツェッペリン飛行船を参考にしている。
6 日本
日本における飛行船導入と開発の歴史。
(略)
7 第2次世界大戦後
アメリカ、イギリス、ドイツ等、各国が飛行船を偵察や電波探知に利用した。アメリカ軍は1950年代末までに飛行船運用を廃止した。
重航空機の技術を組み合わせたハイブリッド飛行船が提唱されたが、実用には至ったのはわずかだった。現在、エアロスクラフト社がハイブリッド飛行船を採用している。
現在、飛行船の大半は伝統的な軟式または半硬式であり、計測、広告等に用いられている。
8 操縦・離着陸・格納
揚力を利用した操縦、繋留塔と格納庫について。
9 構造と推進装置
10 有用性と将来
飛行船の利点は、環境への負荷が少ない点、滞空時間の長い点にある。