英国の諜報員リーマス・エリックと、東ドイツの諜報員ハンス・ディートリヒ・ムントが対決する。
(冷酷な殺人者)ムントによって東側潜伏の部下を皆殺しにされたリーマスは、一旦落ちぶれたと見せかけて敵を倒そうとする。管理官の計画にしたがい、部署をクビになり落ちぶれたことを装う。知能のすぐれたスパイの世界では、敵は味方の姿しかとらないのでまず味方を欺く必要がある。
この身分偽りの過程では、叙述は種を明かさない。リーマスが飲んだくれになり、紹介先の職場で人を食った態度をとっている様子を、周囲の人物の視点から記録する。
共産党員の女リズは、ムント消滅計画のなかの異物である。管理官の口ぶりによれば、このムント計画事態も見せかけの可能性がある。
不可解な男、これは誰もがなりたくてなれない人物像である。主人公の年齢。ヒトラー・ユーゲント出身の敏腕諜報員。冷戦は少数の人間を前線に送る。
ムントの部下、ユダヤ人マルクシスト、フィードラーによる尋問がはじまる。リーマスは身柄を拘束されて東ドイツに移送されてきたのだった。
作中の人物が言うとおり、東西諜報部は人間の価値を問題にはしていなかった。彼らはただ法則にしたがって動いていた。