うちゅうてきなとりで

The Cosmological Fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

2015-01-13から1日間の記事一覧

どうぶつの地面(2011)

さかなの絵をかいたら、遠くの道、白っぽい砂をまいた だけの道から、ほこりがまいあがった 砂嵐がきたのでどうぶつの世代はそこでとまった 紫色の、直方体を組み合わせたようなトラック、おそらくは 軍用のものが列をつくって移動している 岩のくぼみから、…

『自由の牢獄』エンデ

非現実的な話があつめられた短編集。どこにあるのかわからない不思議な場所や、奇蹟をさがしもとめてさいごに破滅するか死ぬ話がふくまれる。 かれらは絵や聖書の力にとりつかれてしまう。ボルヘスに影響をうけたという話では、非現実的な空間が出現して観察…

『アルゴールの城にて』ジュリアン・グラック

ブルターニュの森と丘に囲まれた城で、主人公アルベールと友人エルミニオン、謎めいた女ハイデがなにも繰り広げずにハイデが死ぬ話。ワーグナーの「パルジファル」が下敷きになっているというが読んだことがない。 柔らかい、幻想的な風景描写に、登場人物の…

『人性論』ヒューム

だいぶ昔に読んだので今読むとどう感じるかはわからない。 *** ヒュームは外界のできごとを観察するあらゆる学問の前提に哲学をすえた。なぜなら外界の観察をおこなうのは人間であり、人間の性質を理解することがあらゆる観察の基盤となるからだ。 プラトン…

『神々の明治維新』安丸良夫

新政府による神道政策とそれに伴う廃仏毀釈運動、また明治維新が日本人の宗教生活に与えた影響を考える本。日本人は宗教的に無節操とされるが、初詣は明治以降につくられた習慣である。宗教的慣習がいかに変質していったかがよくわかる。 新政府は正統性を得…

『都会と犬ども』バルガス・リョサ

士官学校に入った少年たちの話。文才があり、口先でうまく標的になるのをまぬがれているアルベルトが作者の姿を投影しているとおもわれる。同じ区隊のジャガーは圧倒的な戦闘力をもつチンピラで、上級生を叩きのめし学年のボスになる。生徒たちは教官の影に…

『Globalization and its discontents』J.Stiglitz

グローバリゼーション、とくにIMFの政策の失敗をあげ、問題点と対策を論じる本。 IMFは途上国に対し一律に経済自由化を指示したがこれによってさまざまな失敗が生まれた。自国産業の十分に発展しない状態で自由化を行うことは海外資本によって国が占有される…