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うちゅうてきなとりで

the cosmological fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

『新麻雀放浪記』阿佐田哲也

 ――「だって、あんた、買い物に来たんでしょ」

   「いや、煙草を奪りにきたんだよ」

   「そりゃア困るね。冗談ごとじゃすまない。あんた、煙草1箱でも、物を奪りゃ、泥棒ですよ」

   「物を奪っちゃ、いけねえのか」

   「いけねえのか、って、酔ってるわけでもないんでしょう。どうも弱ったね。それじゃあマア、ついでのときに代金を持ってきてください。今はいいからね。でもあんた、子供ならともかく、いい年して只もってっちゃいけないよ」

   「嫌だね。俺は銭を払う気なんぞない。只持ってかれるのが嫌なら、俺を殴れ。力ずくでとりかえしな」

 

 40歳の無職が万引きをするならこのくらい正々堂々としている必要があるのではないか。

 麻雀やカジノのやりとりを淡々と書く本。主人公の中年をはじめとして、みな、生活やばくちに対して哲学や信条、セオリーを持っており、これをしゃべくって実践する。

 彼らはみな自分の行動原理を確立して、生きのびようとしている。この本はサバイバルの話である。