うちゅうてきなとりで

the cosmological fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

『寒い国から帰ってきたスパイ』ジョン・ル・カレ

 英国の諜報員リーマス・エリックと、東ドイツの諜報員ハンス・ディートリヒ・ムントが対決する。

 (冷酷な殺人者)ムントによって東側潜伏の部下を皆殺しにされたリーマスは、一旦落ちぶれたと見せかけて敵を倒そうとする。管理官の計画にしたがい、部署をクビになり落ちぶれたことを装う。知能のすぐれたスパイの世界では、敵は味方の姿しかとらないのでまず味方を欺く必要がある。

 この身分偽りの過程では、叙述は種を明かさない。リーマスが飲んだくれになり、紹介先の職場で人を食った態度をとっている様子を、周囲の人物の視点から記録する。

 共産党員の女リズは、ムント消滅計画のなかの異物である。管理官の口ぶりによれば、このムント計画事態も見せかけの可能性がある。

 不可解な男、これは誰もがなりたくてなれない人物像である。主人公の年齢。ヒトラー・ユーゲント出身の敏腕諜報員。冷戦は少数の人間を前線に送る。

 ムントの部下、ユダヤ人マルクシスト、フィードラーによる尋問がはじまる。リーマスは身柄を拘束されて東ドイツに移送されてきたのだった。

 

 作中の人物が言うとおり、東西諜報部は人間の価値を問題にはしていなかった。彼らはただ法則にしたがって動いていた。

 

寒い国から帰ってきたスパイ (ハヤカワ文庫 NV 174)

寒い国から帰ってきたスパイ (ハヤカワ文庫 NV 174)