『プレクサス』ヘンリー・ミラー その1

『薔薇色の十字架』第二部。 「過去は、それが失敗や挫折の文字を綴るかぎり、非存在のまぼろしにすぎないのである」。 彼は近所の図書館で悪名を馳せた。 「ぼくはいつも貸し出し期限超過だとか、紛失(といっても実はぼくの書棚に鎮座ましましていたのだが)だとか、ページの切り取りだとか、そういうことで多額の罰金を…